事例No.20(盲)キャンパス内の要所に目印、点字ブロックの設置を申し出

【事例紹介】

事例が起きた時期

平成28年度

事例が起きた学校

私立大学、学校規模:5,000から9,999人

対象学生

学科(専攻):人文科学、1年次、視覚障害(盲)

相談、不満・不服の申し立て、または支援の申し出

1.場面等

学生寮への入居、施設等の利用やサービスの提供

2.内容

視覚障害学生(盲)の受験前面談で、入学後の学生生活の配慮に関して、以下の要望を受けた。なお、キャンパス内には点字ブロックがほぼ設置されていない(新しく建てられた棟の階段の上下のみに設置)。入学が決まれば、学生自身で歩行訓練の依頼をする予定。 

  • キャンパス内の要所に目印をつけてほしい
  • 階段の始めと終わりに点字ブロックをつけてほしい(とても安心できる)

学校の対応

1.関わった部署

障害学生支援部署、学生生活支援担当部署(学生課等)、施設・設備担当部署、教育部門(学部、学科等) 保健管理センター等

2.対応内容

受験前面談の後、「入学決定後の歩行訓練をもとにどこにどのような目印が必要か相談ください。申し出の時期にもよるが、可能な限り入学に間に合うよう設置を進める」と回答した。
入試合格、入学の意思の確認後、本人が依頼した学内の歩行訓練に、学科教員、保健管理室と障害支援担当部署の職員が同行した。歩行訓練により、建物間は点字ブロック(誘導)の設置が理想で、階段の上下および建物の出入口に点字ブロック(警告)、女子トイレ前にも点字ブロック(警告)1枚を、予算に合わせて使用頻度の高い箇所から設置してほしいと要望された。要望をもとに管財・財務事務室を含む関係部署で協議を行なったところ、全ての建物間への点字ブロック設置が現実的でないと分かった。また、当該学生の入学年度は長期の学内工事が予定されており、仮に設置しても数か月後に改修が必要となる。工事の進行によって歩行スペースが制限・移動されるため、点字ブロックの敷設が安全な移動に直結するとは言えない。その後、学長、副学長が同席する会議を行ない、工事終了後キャンパス内のメインストリートに必要最低限の点字ブロックを順次敷設、それまでの原則1年間は大学が支援者を雇用する等の支援に関する基本方針が示された。支援担当者が本人に大学の状況を説明し、ガイドヘルプをつける代替案を提案した。

理由・原因等 ※学校の対応

  • 過重な負担となるため
  • 施設・設備
  • 予算
  • その他
  • 具体的な内容

学生等の反応

  • 納得して問題なく修学している
  • 学内で工事が予定されている(門から教室へ向かうメインストリートを含む)
  • 点字ブロックを設置しても、工事の進み具合によって歩行スペースの道幅が制限されるなど、学内環境が変化することを考えるとかえって危険が予想される

工事のため点字ブロックを設置できない1年間は、大学が費用を負担して学内移動支援(ガイドヘルプ)を提供する案が出たが、必要とする支援として問題がないか本人に尋ねた。ガイドヘルプを付けてもらえるとは思っていなかったのでとてもありがたい、との返事だった。

その後の経過

キャンパス内が複雑で、特に新入生は教室を探して迷うことが多い。授業開始直前となったがヘルパー派遣事業所との打ち合わせを実施し、安全に移動支援が始まった。その後も円滑に支援が進み、当該学生と担当ヘルパーとの関係も良好である。
時間割決定後にガイドヘルパーを調整したが難航したため、一部の曜日・時間は学科の協力のもと教員や同級生の支援を受けている。現在はクラブに所属し、クラブ活動の帰りなどは友人らの支援を受けている。

【参照】