事例No.1025(ASD)別室受験、授業の途中退室許可の配慮を実施するも、気持ちが不安定で合意と不満を繰り返す

【事例紹介】

事例が起きた時期

平成29年度
発生時期:受験時

事例が起きた学校

国立高専、学校規模:1,000から1,999人

対象学生

学科(専攻):工学 4年次

支援の申し出

1.支援の申し出の受付

  • 支援の申し出があった
  • 支援の申し出に関する申請書(様式)がある
  • ニーズの聞き取りのための面談を実施した
  • 申し出を受けた部署:入試担当部署

2.支援が必要とされた場面:受験・入学、授業・研究指導、キャリア教育、就職活動

申し出への対応

1.支援の申し出の受付

  • 配慮の提供について、学内の関係部署による検討・協議を行なった
  • 協議に参加した部署(者) :障害学生支援部署、入試担当部署、教務担当部署、学生相談部門
  • その後の状況に関して、関係部署(者)に聞き取り、情報共有等を行なっている

2.配慮内容決定後のモニタリング・フォローアップ

  • その後の状況に関して、関係部署(者)に聞き取り、情報共有等を行なっている

相談内容

音声吃音のため学力検査の別室受験

申し出内容と配慮の提供

申し出内容1:試験の別室受験

決定した配慮内容:申し出通りの配慮の提供を決定した
配慮内容決定時点での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:事前相談の内容を全面的に受け入れた


申し出内容2:音声吃音、自閉症スペクトラムのため定期試験の別室受験

決定した配慮内容:申し出通りの配慮の提供を決定した
配慮内容決定時点での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:学年進行とともに改善されることが期待されるといわれ、徐々に配慮を減らしてゆく予定であったが、配慮を減らすことができる兆しが見えない


申し出内容3:自閉症スペクトラムによる授業時間中の退室

決定した配慮内容:学校が提案した配慮の提供を決定した=授業時間中の保健室退避
配慮内容決定時点での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
事後評価:ニーズは満たせず、学生は納得していないと思われる
事後評価の理由・詳細:授業中に保健室に退避することなく、居眠りの状態が続く

配慮内容決定後の不服、不満、苦情の申し立て

不服、不満、苦情等の申し立てはなかった

その後の経過、課題等

授業中居眠りすることがよくあり、主治医に確認したところ、感覚が過敏で刺激に対してとても疲れることや、薬の副作用も考えられるとのことだった。
本人からの申し出を認め、合意が成立し、全て対応しているが、気持ちが不安定で、配慮しても1時間後には気持ちが変わってしまうので、学生の反応については、「満足していない」という回答しかできなかった。
通常の授業参加に耐えられず、学内で何度も検討を重ね、保健室にいる場合も出席として取り扱うことを認めた。しかしながら、保健室でも気持ちを立て直すのが難しい状況が続いたため、昨年より非常勤職員を雇い、マンツーマンで対応することにした。定期試験は全て別室で、その職員の監視のもとで受けている。
非常勤職員の採用に当たっては、複数の候補者と当該学生が面談し、一番相性の良かった人を採用し、なんとか卒業にむけて前進している。
ただし、気分の不安定さは続いており、本人からは「満足」といった様子は受け取ることができない。

【参照】