事例No.99(発達障害・精神障害)配慮依頼文書について

【事例紹介】

事例が起きた時期

過去5年以内

事例が起きた学校

私立大学、学校規模:10,000人以上

対象学生

2年次、その他の障害(発達障害、精神障害)

相談、不満・不服の申し立て、または支援の申し出

1.場面等

受験・入学、授業・研究指導、試験の評価、単位取得、卒業要件等

2.内容

学生本人が学生相談室カウンセリングへ来談し、授業支援を希望。障害学生支援担当部署の制度を紹介し、登録学生となった(医師による診断書あり)。
授業時の配慮依頼文書を履修科目の全教員へ渡すため、文案を作成、学生本人とも内容確認をし、配布準備完了。学生は一旦了承したが「文書が出るほど重い」と教員に思われると危惧。今後大学院受験も考えており、障害が合否に影響するのではと。
支援担当者からは、依頼文書自体の取扱いは教員個人に委ねられること、学部担当教員が大学院も兼務することもあるので、試験官にもなることもあり得ると返答。
本人としては、文書を出す・出さないを決められず。文書内容についての他大学のデータを知りたいと。

学校の対応

1.関わった部署

障害学生支援部署、学生生活支援担当部署(学生課等)、教育部門(学部、学科等)、その他(他大学障害学生支援担当教職員)

2.対応内容

  • 他大学のデータ

発達・精神障害の利用学生で、授業支援を受けながらも専門ゼミに入れた、大学院に進んだ事例。当該学生は、他大学の院受験でも教員ネットワークで障害情報が洩れて面接不利になるという強い不安について、日頃から交流している支援担当者の交流会に相談し、そこから更に事例を多数お持ちの大学へつないでもらい事例内容や学生数を教えていただく。これを学生本人にも一部伝えたところ、データ提示に安心し、配慮文書を出すことに最終的に納得した。また、文書内の表現も細かく見ており、他大学教職員から色々事例をもらい反映させた。

  • 学内

学内では、学生相談室・障害学生支援室(授業支援)・所属学部が情報共有しながら、対応を備えることが、学生の不安の解消、合意形成につながるケースとなった。

学生等の反応

入学して最初の学期について、配慮依頼文書を無事に出せたが、その他の場面でもトラブル等が多く、ほどなく休学した。その間にもトラブルの申し立て等は続き、休学から引き続いて自主退学となった。

その後の経過

精神的に不安定な学生の授業支援には、学生相談室カウンセリングが不可欠であること、最初から連携していることを学生に見せることが重要だと意識が高まった。
この学生以降も、同様の学生対応が増加の一途であり、学内体制を整備してチーム支援に努めている。

【参照】