平成22年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果

発送件数 回答件数 回答率
延滞者 89,555 3,956 4.4%
無延滞者 9,721 2,669 27.5%

(結果)

1.主な返還者

(1)主な返還者

主な返還者は、延滞者の場合で「本人」62.9%、「連帯保証人」18.4%、無延滞者の場合で「本人」83.6%、「連帯保証人」8.2%である。延滞者、無延滞者ともに本人が主な返還者である割合が最も高いが、延滞者では無延滞者に比べて約20%低くなっている。

区分 延滞者 無延滞者
人数 割合(%) 人数 割合(%)
奨学生本人 2,409 62.9 2,227 83.6
連帯保証人 704 18.4 218 8.2
保証人 230 6.0 92 3.5
連帯保証人・保証人以外の父母 320 8.4 75 2.8
配偶者 70 1.8 48 1.8
その他 99 2.6 3 0.1
3,832 100.0 2,663 100.0

(2)回答者と主な返還者の関係

延滞者の場合、回答者(このアンケート調査に回答した者)が主な返還者であることが多い(回答者が配偶者である場合を除く)のに対し、無延滞者の場合、回答者にかかわらず本人が主な返還者であることが多い(回答者が保証人である場合を除く)。

延滞者

区分 主な返還者(%)
奨学生本人 連帯保証人 保証人 連帯保証人・
保証人
以外の父母
配偶者 その他
回答者 奨学生本人 88.5 4.8 1.5 0.8 1.9 2.5 100.0
連帯保証人 18.0 76.7 1.7 2.0 0.1 1.6 100.0
保証人 16.8 6.6 70.9 2.5 1.2 2.0 100.0
連帯保証人・保証人
以外の父母
21.8 5.7 1.7 68.3 0.2 2.2 100.0
配偶者 54.1 4.9 0.0 3.3 32.8 4.9 100.0
その他 7.7 7.7 0.0 0.0 0.0 84.6 100.0

無延滞者

区分 主な返還者(%)
奨学生本人 連帯保証人 保証人 連帯保証人・
保証人
以外の父母
配偶者 その他
回答者 奨学生本人 92.6 3.1 1.3 0.9 2.1 0.1 100.0
連帯保証人 49.5 48.7 0.7 0.4 0.4 0.4 100.0
保証人 41.9 3.8 54.3 0.0 0.0 0.0 100.0
連帯保証人・保証人
以外の父母
51.9 9.5 3.8 34.8 0.0 0.0 100.0
配偶者 84.4 0.0 0.0 3.1 12.5 0.0 100.0
その他 - - - - - - -

2.本人の職業

延滞者の場合、「正社員・正職員」が最も多く27.4%、次いで「アルバイト・パート等」25.1%、「失業中・無職」16.7%となっている。無延滞者の場合、「正社員・正職員」が68.0%と最も多く、次いで「アルバイト・パート等」の9.1%となっている。延滞者は、無延滞者と比較して「正社員・正職員」となっている者の割合が低く、「アルバイト・パート等」や「派遣・臨時職員」、「失業中・無職」の割合が高くなっている。

区分 延滞者 無延滞者
人数 割合(%) 人数 割合(%)
正社員・正職員 1,073 27.4 1,814 68.0
派遣・臨時職員 521 13.3 235 8.8
アルバイト・パート等 980 25.1 242 9.1
自営業・経営者 148 3.8 64 2.4
休職中(病気療養中も含む) 173 4.4 27 1.0
失業中・無職 653 16.7 102 3.8
専業主婦(夫) 240 6.1 110 4.1
在学中(留学を含む) 48 1.2 51 1.9
その他 73 1.9 24 0.9
3,909 100.0 2,669 100.0

3.本人の年収

延滞者の場合、「100~200万円未満」が最も多く26.5%、次いで「1円~100万円未満」24.9%、「0円」20.0%で、この3つの区分(0円~200万円未満)で71.3%となっている。
無延滞者の場合、「200万円~300万円未満」が最も多く26.0%、次いで「400万円以上」21.8%、「300万円~400万円未満」19.2%となっている。この3つの区分(200万円~)で67.0%となっている。
収入の多い方から順に並べたときに中央にあたるのは、延滞者は「100万円~200万円未満」の区分、無延滞者は「200万円~300万円未満」の区分である。

区分 延滞者 無延滞者
人数 割合(%) 人数 割合(%)
0円 770 20.0 181 6.8
1円~100万円未満 958 24.9 231 8.7
100~200万円未満 1,019 26.5 464 17.5
200~300万円未満 689 17.9 690 26.0
300~400万円未満 280 7.3 510 19.2
400万円以上 136 3.5 580 21.8
3,852 100.0 2,656 100.0

図 本人の年収

4.延滞の理由と今後の返還の見通し

  • 調査対象:延滞者のみ

(1)延滞が始まった理由(きっかけ)

延滞が始まった理由(きっかけ)は「収入が減った」が最も多く61.1%、次いで「支出が増えた」15.1%で、この2つの区分で75%を超えている。「入院、事故、災害等」も収入減や支出増に関係するものと思われ、これを合わせると8割を超えている。

区分 延滞者
人数 割合(%)
忙しかった 99 2.5
返還を忘れていた 140 3.6
家計の収入が減った 2,389 61.1
家計の支出が増えた 591 15.1
入院、事故、災害等 253 6.5
返還するものだと思わなかった 22 0.6
その他 415 10.6
3,909 100.0

(2)延滞が継続している理由

延滞が継続している理由は、「本人の低所得」が最も多く47.8%、次いで「親の経済困難」37.8%、「延滞金額の増加」27.8%となっている。

区分 延滞者
人数 割合(%)
本人が病気療養中 262 6.7
本人が学生(留学を含む) 56 1.4
本人が失業中(無職) 839 21.4
本人の低所得 1,871 47.8
本人の借入金の返済 762 19.5
奨学金の延滞金額の増加 1,087 27.8
親の経済困難 1,479 37.8
配偶者の経済困難 201 5.1
家族の病気療養 287 7.3
忙しくて忘れていた 84 2.1
その他 259 6.6
回答者数 3,917 -

(注)

(3)延滞が始まった理由(きっかけ)と継続している理由の関係

延滞が始まった理由により、継続の理由にも多少バラつきがあるが、「本人の低所得」と「延滞金額の増加」を延滞継続の理由とする割合が高くなっている。

区分 始まった理由
忙しかった 返還を忘れていた 収入が減った 支出が増えた 入院、事故、災害等 返還するものだと思わなかった その他
継続の理由 本人が病気療養中 6 6.2 3 2.2 97 4.1 16 2.7 96 38.1 2 9.1 39 9.5
本人が学生(留学を含む) 2 2.1 3 2.2 26 1.1 6 1.0 2 0.8 0 0.0 16 3.9
本人が失業中(無職) 11 11.3 18 13.2 551 23.1 64 10.8 79 31.3 3 13.6 106 25.9
本人の低所得 38 39.2 50 36.8 1,329 55.8 234 39.7 58 23.0 7 31.8 147 35.9
本人の借入金の返済 13 13.4 30 22.1 411 17.3 236 40.0 25 9.9 3 13.6 40 9.8
奨学金の延滞金額の増加 36 37.1 72 52.9 645 27.1 183 31.0 41 16.3 9 40.9 95 23.2
親の経済困難 17 17.5 28 20.6 986 41.4 219 37.1 83 32.9 6 27.3 135 32.9
配偶者の経済困難 2 2.1 0 0.0 132 5.5 39 6.6 12 4.8 0 0.0 14 3.4
家族の病気療養 5 5.2 7 5.1 129 5.4 56 9.5 57 22.6 2 9.1 25 6.1
忙しくて忘れていた 32 33.0 20 14.7 15 0.6 7 1.2 5 2.0 1 4.5 4 1.0
その他 12 12.4 12 8.8 91 3.8 37 6.3 14 5.6 4 18.2 83 20.2
回答者数 97 - 136 - 2,381 - 590 - 252 - 22 - 410 -

(注)

(4)延滞が継続している理由と主な返還者の関係

主な返還者が奨学生本人の場合は「本人の低所得」を理由としている者が最も多い。主な返還者が連帯保証人(原則、父母のどちらか)、保証人(原則、四親 等以内の親族)及び連帯保証人・保証人以外の父母の場合は「親の経済困難」を、配偶者の場合は「配偶者の経済困難」をあげる者が最も多い。

区分 主な返還者
奨学生本人 連帯保証人 保証人 連帯保証人・保証人以外の父母 配偶者 その他
継続の理由 本人が病気療養中 148 6.2 51 7.3 18 8.0 16 5.1 5 7.1 13 13.5
本人が学生(留学を含む) 25 1.0 13 1.9 1 0.4 5 1.6 1 1.4 4 4.2
本人が失業中(無職) 448 18.7 182 26.0 48 21.2 66 21.0 22 31.4 33 34.4
本人の低所得 1,268 52.9 288 41.2 94 41.6 119 37.9 22 31.4 36 37.5
本人の借入金の返済 621 25.9 55 7.9 27 11.9 28 8.9 8 11.4 11 11.5
奨学金の延滞金額の増加 799 33.3 128 18.3 38 16.8 64 20.4 17 24.3 23 24.0
親の経済困難 565 23.6 467 66.8 136 60.2 200 63.7 14 20.0 39 40.6
配偶者の経済困難 124 5.2 26 3.7 8 3.5 10 3.2 27 38.6 3 3.1
家族の病気療養 161 6.7 52 7.4 16 7.1 38 12.1 3 4.3 7 7.3
忙しくて忘れていた 75 3.1 5 0.7 0 0.0 2 0.6 0 0.0 2 2.1
その他 163 6.8 31 4.4 19 8.4 22 7.0 8 11.4 9 9.4
回答者数 2,396 - 699 - 226 - 314 - 70 - 96 -

(注)

(5)延滞が継続している理由と年収との関係

「0円」と回答した者の延滞理由は「本人が失業中(無職)」が最も多くなっている。「1円~100万円未満」、「100~200万円未満」及び 「200~300万円未満」の者の理由は「本人の低所得」が最も多くなっているのに対して、「300~400万円未満」と「400万円~」の者の理由は 「本人の借入金の返済」、「延滞金額の増加」が多くなっている。

区分 年収
0円 1円~100万円未満 100~200万円未満 200~300万円未満 300~400万円未満 400万円~
継続の理由 本人が病気療養中 129 16.8 64 6.7 35 3.5 23 3.4 5 1.8 2 1.5
本人が学生(留学を含む) 25 3.3 19 2.0 8 0.8 3 0.4 0 0.0 0 0.0
本人が失業中(無職) 480 62.7 248 25.9 75 7.4 19 2.8 3 1.1 0 0.0
本人の低所得 81 10.6 623 65.1 694 68.4 352 51.6 81 29.1 27 20.0
本人の借入金の返済 42 5.5 109 11.4 214 21.1 201 29.5 114 41.0 71 52.6
奨学金の延滞金額の増加 122 15.9 220 23.0 286 28.2 267 39.1 128 46.0 47 34.8
親の経済困難 322 42.0 327 34.2 401 39.5 257 37.7 98 35.3 37 27.4
配偶者の経済困難 78 10.2 55 5.7 26 2.6 23 3.4 10 3.6 5 3.7
家族の病気療養 49 6.4 64 6.7 77 7.6 46 6.7 19 6.8 19 14.1
忙しくて忘れていた 7 0.9 8 0.8 18 1.8 25 3.7 10 3.6 14 10.4
その他 55 7.2 34 3.6 58 5.7 46 6.7 27 9.7 18 13.3
回答者数 766 - 957 - 1,014 - 682 - 278 - 135 -

(注)

(6)今後の返還の見通し

今後の返還の見通しについては、いずれの年収区分でも「決められた月額より少ないが返還したい」と回答する者が多いが、年収が多くなるにつれて「決められた月額を返還したい」と回答する者が多くなっている。

区分 延滞者
人数 割合(%)
決められた月額等を返還したい 1,127 29.0
決められた月額等より少ないが返還したい 2,499 64.2
わからない 264 6.8
3,890 100.0
区分 年収
0円 1円~100万円未満 100~200万円未満 200~300万円未満 300~400万円未満 400万円~
返還の見通し 決められた月額等を返還したい 172 22.8 211 22.2 289 28.6 245 35.8 124 44.4 61 45.5 1,102 28.9
決められた月額等より少ないが返還したい 482 63.9 656 69.1 677 67.0 417 61.0 147 52.7 71 53.0 2,450 64.3
わからない 100 13.3 83 8.7 44 4.4 22 3.2 8 2.9 2 1.5 259 6.8
754 100.0 950 100.0 1,010 100.0 684 100.0 279 100.0 134 100.0 3,811 100.0

5.返還期限の猶予制度

(1)猶予制度の認知状況

猶予制度に関しては、請求書を送付する都度、案内資料を同封する他、振替不能通知にも記載している。また、返還の手引きや返還説明会の説明事項にも含めている。
延滞者の38.5%、無延滞者の38.2%が「知っている」と回答しており、延滞者と無延滞者の間で差は見られなかった。

区分 延滞者 無延滞者
人数 割合(%) 人数 割合(%)
知っている 1,509 38.5 1,017 38.2
知らなかった 2,409 61.5 1,643 61.8
3,918 100.0 2,660 100.0

(2)猶予制度の認知状況と年齢の関係

延滞者においては、「知っている」と回答する者について、24歳以下が29.9%であった他は、他の年齢層においては30%台後半~40%台前半と、年齢による差は小さかった。一方、無延滞者においては、年齢と共に「知っている」割合が上がっていく傾向がみられた。

延滞者

区分 認知状況
知っている 知らなかった
人数 割合(%) 人数 割合(%) 人数 割合(%)
年齢 ~24 165 29.9 387 70.1 552 100.0
25~29 582 37.5 968 62.5 1,550 100.0
30~34 408 43.8 524 56.2 932 100.0
35~39 171 39.9 258 60.1 429 100.0
40~44 111 41.4 157 58.6 268 100.0
45~ 61 38.4 98 61.6 159 100.0
1,498 38.5 2,392 61.5 3,890 100.0

無延滞者

区分 認知状況
知っている 知らなかった
人数 割合(%) 人数 割合(%) 人数 割合(%)
年齢 ~24 294 32.7 606 67.3 900 100.0
25~29 321 32.7 662 67.3 983 100.0
30~34 73 45.1 89 54.9 162 100.0
35~39 235 51.2 224 48.8 459 100.0
40~44 67 63.8 38 36.2 105 100.0
45~ 26 52.0 24 48.0 50 100.0
1,016 38.2 1,643 61.8 2,659 100.0

(3)猶予制度の申請状況(延滞者で猶予制度を「知っている」と回答した者に質問)

延滞者で返還期限猶予制度を「知っている」と回答した者の猶予の申請状況は、「申請している」と「申請の準備または検討中」の合計が40.5%となっている。

区分 延滞者
人数 割合(%)
申請している 247 17.0
申請の準備または検討中 342 23.5
申請できる月数(60か月)に達してしまったため申請できない 314 21.6
猶予の基準に合わないので申請していない 226 15.5
その他 328 22.5
1,457 100.0

(4)猶予制度の利用状況(無延滞者で猶予制度を「知っている」と回答した者に質問)

無延滞者で返還期限猶予制度を「知っている」と回答した者の猶予制度の利用状況は「利用したことがない」と回答した者が86.4%と高くなっている。

区分 無延滞者
人数 割合(%)
利用したことがある 123 12.2
利用したかったが基準に合わなかった 14 1.4
利用したことがない 874 86.4
1,011 100.0

6.無延滞者のこれまでの返還状況

  • 調査対象:無延滞者のみ

(1)延滞経験の有無

無延滞者において今までに延滞を経験したことがある者が15.4%、延滞したことがない者が84.6%であった。

区分 無延滞者
人数 割合(%)
延滞したことがない 2,228 84.6
延滞したことがある 406 15.4
2,634 100.0

(2)延滞になったことを知ったきっかけ(無延滞者で「延滞したことがある」と回答した者に質問)

延滞になったことを知ったきっかけは「機構からの振替不能(延滞)通知」が72.2%、「機構からの電話」が35.4%であった。

区分 無延滞者
人数 割合(%)
機構からの振替不能(滞納)通知 273 72.2
機構からの電話 134 35.4
連帯保証人・保証人からの連絡 19 5.0
口座残高を確認して 78 20.6
親・家族等からの連絡 38 10.1
その他 23 6.1
回答者数 378 -

(注)

(3)延滞の解消方法(無延滞者で「延滞したことがある」と回答した者に質問)

どのように延滞の解消方法については、「延滞額を支払った」が86.3%であった。

区分 無延滞者
人数 割合(%)
延滞額を支払った 328 86.3
猶予願が承認された 25 6.6
その他 35 9.2
回答者数 380 -

(注)

7.日本学生支援機構の奨学金に対する意識調査

  • 調査対象:無延滞者のみ

奨学金に対する意識について質問したところ、それぞれの問いで最も割合が高かった回答は次の通りであった。

  • 返還負担度(現在、奨学金の返還が負担になっている)・・・「そう思う」26.4%
  • 返還義務度(借りたものなので必ず返さなければならない)・・・「とてもそう思う」65.7%
  • 回収強化度(回収は強化するべきである)・・・「どちらともいえない」33.8%
  • 督促のきびしさ度(延滞への対応がきびしい)・・・「どちらともいえない」44.9%

(単位:人・%)

区分 返還負担度 返還義務度 回収強化度 督促のきびしさ度
現在、奨学金の返還が負担になっている 借りたものなので必ず返さなければならない 回収は強化するべきである 延滞への対応がきびしい
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合
とてもそう思う 407 15.4 1,740 65.7 748 28.3 67 2.6
そう思う 699 26.4 844 31.9 813 30.7 120 4.6
どちらともいえない 624 23.6 50 1.9 894 33.8 1,169 44.9
そう思わない 676 25.5 7 0.3 141 5.3 770 29.6
まったくそう思わない 243 9.2 8 0.3 49 1.9 479 18.4
2,649 100.0 2,649 100.0 2,645 100.0 2,605 100.0
お問い合わせ
独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
  • 電話 03-6743-6029
  • FAX 03-6743-6679