事例に学ぶ 紛争の防止・解決等につながる対応や取組
事例No.682(肢体不自由・下肢機能障害)
相談内容
- 下肢の障害のため、装具をつければ歩行できるが、走ることができない。
- 集団で行動する際に遅れてしまう。
- 体育実技やフィールドワーク等の実習に参加できるかが不安
申し出内容
- 1. 体育実技について
- 2. フィールドワーク等の実習について
配慮内容
- 1. 体育実技については、球技等の走る必要がある種目ではなく、身体に負担のかからない種目を優先的に選択できるように担当教員と相談することを提案
- 2. フィールドワーク等の実習については、学生特別支援室から学科教員に障害の状況を説明。実習の内容を事前に知らせてもらい、参加できる作業に参加する、身体に負担のかからない役割を分担してもらう等の配慮を受けることを提案
解説
体育実技など、実技による単位認定を行なっている科目では、障害のある学生が受講する際、他の多くの学生たちとは同じ方法で参加することができない場合があります。そのため、その実技を他の学生と同じ方法で(合理的配慮がない形で)行なうことが、単位認定上、本質的かつ不可欠なことかどうかを、十分に検討する必要があります。
障害があることを理由として、正当な理由なく、障害のある学生が教育場面に参加することを大学や教員が否定することは、障害者差別解消法により禁止されています。就労の場面においても、障害者雇用促進法により、すべての企業に対して、労働者への不当な差別的取り扱いと合理的配慮の不提供は禁止されています。これらの理念に立脚した上で、その実技の遂行を、どのような合理的配慮を提供した上で認めていくかを考えるためには、評価のポリシーを明確にすることが必要となります。カリキュラム・ポリシーやディプロマ・ポリシーに加えて、個々の授業やコースで、学生に身につけたことを評価するテクニカル・スタンダード(技術的水準)を明確にしていく必要もあるでしょう。
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