事例紹介
事例が起きた時期
令和元年度
発生時期:就職時期
事例が起きた学校
国立大学、学校規模:10,000人以上
対象学生
学科(専攻):その他、年次:大学院、障害種:発達障害(SLD)
支援の申し出
1.支援の申し出の受付
- 支援の申し出:有
- 申し出を受けた部署(者):学生生活支援担当部署
- 支援の申し出を受け付ける申請書(様式):有
- ニーズ聴き取りのための面談:実施した
2.支援が必要とされた場面
授業・研究指導 キャリア教育、就職活動
申し出への対応
1.配慮内容の決定について
- 配慮の提供に関する学内関係部署の検討・協議:実施した
- 検討協議に参加した部署(者):障害学生支援部署 就職支援部門
- 配慮内容の決定過程:建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった
- 学内関係部署への配慮依頼文書の配付:実施なし
2.配慮内容決定後のモニタリング・フォローアップ
- 当該学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
- 当該学生に対して、定期面談を行なっている
相談内容
学生本人より、SPIのうち、特に言語分野の得点が取れないことについて、就職支援部門に相談があり、SPIを解くコツを教えてほしいとの申し出があった。
申し出内容と配慮の提供
申し出内容1:文字を読んで理解することの困難さに関するアセスメントをしてほしい。
- 提供した配慮:申し出通りの配慮
- 配慮内容決定時での合意形成:できた
- 合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
- 提供した配慮の具体的内容:SPIの解き方について就職支援部門に相談があった際に、就職支援担当者が学生の読みの困難さに気づき、障害学生支援部門へと引き継がれた。障害学生支援部門では読みの困難に関するアセスメントを行ない、学生支援担当者が学生本人にアセスメント結果のフィードバックを行なった。
- 事後評価:ニーズを完全には満たしていないが、学生も概ね満足している
- 事後評価の理由・詳細:結果のフィードバックの際に「周りの人も同じように苦労しながら文字を読んでいると思っていた」との発言が学生からあり、周囲との違いに対する気づきがうかがえた。また、アセスメントの客観的な結果は、学生自身の主観的な困りごとと対応する部分が大きかったこともうかがえた。
申し出内容2:読んで理解することの難しさがあるため就職活動のサポートをしてほしい。
- 提供した配慮:申し出通りの配慮
- 配慮内容決定時での合意形成:できた
- 合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
- 提供した配慮の具体的内容:アセスメント結果を受けて、文字情報を扱うことには周囲の学生よりも苦労する傾向にあること、PCのスクリーンリーダー機能やカラーバールーペといった支援ツールを積極的に活用していくこと等、どのような対応をしていくかについて、学生支援担当者との面談を月2回程度を行なった。学生自身は特定の企業への入社意欲が非常に高く、入社希望企業の人事担当者とのコミュニケーションを積極的に取っていた。学生支援担当者は学生の就職活動の状況について就職支援担当者と適宜、情報共有を行ない、学生からの問い合わせがあった際には適宜、助言するなど学生の様子を見守ることとした。学生は、SPIを必要としない学校推薦枠での入社ルートに関する情報を自発的に収集し、就職活動を積極的に進めていた。
- 事後評価:ニーズを完全には満たしていないが、学生も概ね満足している
- 事後評価の理由・詳細:企業のホームページや就職情報支援サイトなどから必要な情報をピックアップする等の本質的な困難さについて、たどたどしさはあるものの、スクリーンリーダーを活用する、文字情報を拡大したり、ハイライトしたりするといった工夫を自発的に行なうことにより、必要な情報がピックアップしやすくなる様子がうかがえた。その結果として、無事に就職活動を成し遂げることができた。アセスメントを受けるまでは、周りの人も同じように苦労しながら文字を読んでいると思っていたが、客観的な結果を受けて、自分の読みの困難さに対する認識を深めることができたとのこと。
配慮内容決定後の不服、不満、苦情の申し立て
- 不服、不満、苦情等申し立て:なかった
その後の経過、課題等
就職先から内定を得ることができ、大学院修了に向けて研究活動を進めている。