平成29年度奨学金の返還者に関する属性調査結果

抽出人数 回答人数 回答率 参考母数(平成29年度末)
延滞者 19,628人 3,329人 17.0% 157千人
無延滞者 9,621人 2,296人 23.9% 3,819千人
  • 回答人数には無回答・不明回答を含まない。

結果の概要

1.奨学金申請に関すること

(1)奨学金申請時の書類作成者

奨学金申請時の書類作成者は、無延滞者では「奨学生本人」が54.8%であるのに対し、延滞者では35.5%と低い。また、「奨学生本人」と「本人と親等」を合せてみると、無延滞者では76.9%と4分の3以上が申請時の書類作成に奨学生本人が関わっているのに対し、延滞者では56.5%と約半数しか申請時の書類作成に奨学生本人が関わっていない。

図1-1 奨学金申請時の書類作成者(択一)

図1-1奨学金申請時の書類作成者のグラフ:延滞者(3,318人)奨学生本人35.5%、本人と親等21.0%、親36.2%、わからない・その他7.3%/無延滞者(2,295人)奨学生本人54.8%、本人と親等22.1%、親21.4%、わからない・その他1.7%

(2)奨学金申請を決めた時期

大学、短期大学、専修学校(専門課程)で奨学金の貸与を受けた者に、奨学金申請を決めた時期を質問した。延滞者、無延滞者ともに「高校3年生の時点」の比率が最も高く、次に「高校卒業後」である。ただし、無延滞者の方が延滞者より「高校3年生の時点」の比率が高く、延滞者の方が無延滞者より「高校卒業後」の比率が高い。

図1-2 奨学金申請を決めた時期(択一)

図1-2 奨学金申請を決めた時期グラフ;延滞者(2,443人)高校入学より前4.0%、高校2年生の時点2.7%、高校3年生の時点42.0%、高校卒業後36.8%/無延滞者(1,823人)高校入学より前5.6%、高校2年生の時点6.8%、高校3年生の時点53.2%、高校卒業後27.8%

(3)返還義務を知った時期

返還義務を知った時期は、無延滞者では「申込手続きを行う前」が89.0%と9割近いのに対し、延滞者では50.9%と約半数にとどまり、申込手続きまでの認識が十分でないことがうかがえる。また、延滞者では、貸与終了後に返還義務を知った者の合計は19.1%で、その半数以上の10.7%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答している。

図1-3 返還義務を知った時期(択一)

図1-3 返還義務を知った時期グラフ;延滞者(3,292人)申込手続きを行う前50.9%、申込手続き中13.9%、貸与中6.8%、返還開始から督促前4.5%、延滞督促を受けてから10.7%、その他・わからない6.0%/無延滞者 (2,292人)申込手続きを行う前89.0%、申込手続き中5.6%

2.延滞者の理由について

(1)延滞が始まった理由(きっかけ)

延滞が始まった理由(きっかけ)は、「家計の収入が減った」が67.8%で最も高く、次いで「家計の支出が増えた」40.2%、「入院、事故、災害等にあったため」19.9%、「忙しかった」13.9%である。

図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)(あてはまるものを全て選択)

図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)グラフ;家計の収入が減った69.2%、家計の支出が増えた43.0%、忙しかった14.3%、入院・事故・災害等19.2%、返還を忘れていたなのどミス10.5%、返還するものと思っていない4.4%、その他29.8%

(2)延滞が継続している理由

延滞が継続している理由は、「本人の低所得」が64.4%で最も高く、次いで「奨学金の延滞額の増加」45.0%である。男女別でみると、男性は女性に比べて「本人の借入金の返済」が10ポイント以上高く、女性は男性に比べて「本人の配偶者の経済困難」、「本人親の経済困難(本人の親が返還する約束をしている)」が5ポイント以上高い。

図2-2 延滞が継続している理由(あてはまるものを全て選択)

図2-2 延滞が継続している理由グラフ;本人の低所得64.5%、奨学金の延滞額の増加45.0%、本人親の経済困難23.8%、本人の借入金の返済30.9%、本人が失業中・無職27.4%、家族の病気療養16.5%、本人が病気療養中11.5%

3.返還期限の猶予制度について

(1)猶予制度の認知状況

猶予制度の認知率は、延滞者で73.7%、無延滞者で62.6%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で34.6%であるのに対し、延滞者では4.5%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が51.8%で最も高い。

図3-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)

図3-1 返還期限猶予制度の認知状況グラフ;延滞者(3,284人)返還が始まってから知った17.4%、延滞督促を受けてから知った51.8%、知らない26.3%/無延滞者(2,287人)返還が始まる前までには知っていた21.8%、返還が始まってから知った25.7%、知らない37.4%

(2)猶予制度をどこから知ったか

延滞者は「機構(旧日本育英会)からの通知で」、「相談センターに電話して」、「債権回収会社から」猶予制度を知った比率が無延滞者よりも高く、無延滞者は「返還のてびきを読んで」、「奨学金申請時・採用時の資料で」、「学校の説明会で」、「日本学生支援機構野ホームページで」猶予制度を知った比率が延滞者よりも高い。

図3-2 返還期限猶予制度をどこから知ったか(あてはまるもの全てを選択)

図3-2 返還期限猶予制度をどこから知ったかグラフ;延滞者:機構からの通知で36.8%、相談センターに電話して31.9%、「返還のてびき」を読んで15.3%/無延滞者:「返還のてびき」を読んで50.1%、奨学金申請時・採用時の資料で31.3%、学校の説明会で19.9%

(3)猶予制度の申請状況

延滞者では、「現在、利用中である」が20.4%、「過去に利用したことがあるが、今は利用していない」が25.3%と、無延滞者に比べて利用している比率が高いが、「申請したことがない」者も30.7%いる。

図3-3 返還期限猶予制度の申請状況(択一)

図3-3 返還期限猶予の申請状況グラフ;延滞者(2,363人)利用中20.4%、準備・検討中10.2%、過去に利用した25.3%、申請したが承認されなかった9.6%、申請したことがない30.7%/無延滞者(1,409人)準備・検討中1.6%、過去に利用した13.1%、申請したことがない83.7%

4.無延滞者の状況

(1)延滞経験の有無

調査時点で無延滞の者に、これまでに延滞したことがあるか質問した。
「延滞したことがある」者は19.2%である。

図4-1 延滞経験の有無(択一)

図4-1 延滞経験の有無グラフ;無延滞者(2,285人)延滞したことがない75.0%、延滞したことがある19.2%、わからない5.8%

(2)延滞になったことをどこから知ったか

「延滞したことがある」と回答した者に、延滞になったことをどこから知ったかを質問した。
「機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知」が66.4%で最も高く、次いで「口座残高を確認して」26.3%、「機構(旧日本育英会)からの電話」25.9%である。

図4-2 延滞になったことを知ったきっかけ(あてはまるものを全て選択)

図4-2 延滞になったことを知ったきっかけグラフ;機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知66.4%、口座残高を確認して26.3%、機構(旧日本育英会)からの電話25.9%、債権回収会社からの連絡7.6%、親・家族等からの連絡6.2%、連帯保証人・保証人からの連絡4.8%、その他2.1%

5.日本学生支援機構からの情報提供について

(1)日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況

図5-1 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況(択一)

図5-1 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況グラフ;延滞者(平成29年度)見る80.2%、見ない16.6%、届いていない・その他3.1%/無延滞者(平成29年度)見る88.3%、見ない10.2%、届いていない・その他1.6%

(2)日本学生支援機構のホームページの閲覧状況

図5-2 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況(択一)

図5-2 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況グラフ;延滞者(平成29年度)見たことがある29.6%、見たことはない58.2%、見ることができない・その他12.2%/無延滞者(平成29年度)見たことがある48.7%、見たことはない48.9%、見ることができない・その他2.4%

(3)スカラネット・パーソナルの認知状況

図5-3 スカラネット・パーソナルの認知状況(択一)

図5-3 スカラネット・パーソナルの認知状況グラフ;無延滞者(平成29年度)よく知っている12.9%、だいたい知っている29.5%、あまり知らない28.8%、知らない28.7%

  • スカラネット・パーソナルは、インターネット上で自分自身の奨学金に関する情報や登録されている内容を閲覧したり、転居・改姓・勤務先変更等の届出ができるサービス。

(4)日本学生支援機構からの情報提供

図5-4 日本学生支援機構からの情報提供(択一)

図5-4 日本学生支援機構からの情報提供グラフ;延滞者(平成29年度)十分だと思う22.2%、どちらともいえない48.9%、十分と思わない28.9%/無延滞者(平成29年度)十分だと思う41.1%、どちらともいえない44.1%、十分と思わない14.8%

6.日本学生支援機構の奨学金に対する意識

(1)奨学金がどのように役に立ったか

奨学金がどのように役に立ったかについて、延滞者では「奨学金のおかげで進学可能となった」が60.0%で最も高く、無延滞者では「家計の負担を軽減できた」が66.4%で最も高い。

図6-1 奨学金がどのように役に立ったか(あてはまるものを全て選択)

図6-1奨学金がどのように役に立ったかグラフ;延滞者:奨学金のおかげで進学可能となった60.0%、家計の負担を軽減できた47.2%、修学に充てる金額を多くできた14.4%/無延滞者:家計の負担を軽減できた66.4%、奨学金のおかげで進学可能となった50.7%、修学に充てる金額を多くできた22.2%

(2)奨学金の返還は負担になっているか

「現在、奨学金の返還が負担になっている」と感じている者(「とてもそう思う」+「そう思う」の合計)は、延滞者では88.1%、無延滞者では48.3%である。

図6-2 奨学金の返還は負担になっているか(択一)

図6-2 奨学金の返還は負担になっているかグラフ;延滞者(3,307人)とてもそう思う56.5%、そう思う31.6%、どちらともいえない9.4%、そう思わない2.2%/無延滞者(2,294人)とてもそう思う20.0%、そう思う28.3%、どちらともいえない24.2%、そう思わない21.6%

お問い合わせ
独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
  • 電話 03-6743-6029
  • FAX 03-6743-6679