事例に学ぶ 紛争の防止・解決等につながる対応や取組
事例No.315(視覚障害・盲)
申し出内容
- 1. 学内での個人ロッカー使用について、本人が利用しやすい場所のロッカーを複数個提供
- 2. 専門実技のための練習室利用
- 3. 通学路途中にある障害物等の除去、歩道上のごみ、水たまりの撤去等
- 4. 各教室、練習室など場所を標示する点字シールの改善希望、学内自動販売機の内容・価格の点字標示希望
- 5. 学内外での演奏会への出演やコンクール参加など書類作成支援
- 6. 入学前後での学内歩行訓練の実施
配慮内容
- 1. 建物の1階に限定し、4から5人分のロッカーを貸与
- 2. 特定の練習室に限定して貸し出し
- 3. 管轄する市役所担当部署への通報と撤去依頼
- 4. 指定された場所への点字シール標示
- 5. 申請書への記入、郵送物の作成、参加料の入金手続き、受験時のサポート
- 6. 学内歩行訓練に必要な校舎配置図、時間割の事前提供
解説
点字使用の視覚障害学生入学に伴い、さまざまな学内環境の整備を行なった事例です。学生が修学するにあたってのニーズには様々な側面があります。特に3では、通学経路の問題について要望が出されていて、これについて市役所と協力して対応にあたっている点で特徴的です。このように障害学生の感じる困難の中には、直接大学が管轄していない領域に対応する内容が含まれていることがあります。障害者差別解消法では、こうした例を「本来業務に付随しない」ものと振り分けていますが、これが解決できないと大学生活を円滑に送ることができないため、大学としても無視することはできません。こうしたケースでは、学内の各部署だけでなく行政等の学外機関と連携し、支援機関や福祉サービスなどの社会資源を活用しながら、柔軟な対応を行なうことが重要です。平成26年に公表した支援・配慮事例では、盲人用信号の設置、信号機の時間延長等、地域の警察と連携した事例も提供されています。本事例では当該課題の管轄部署である市役所に連絡を取り、障害物を撤去してもらうという形で対処しています。ともすると制度のはざまに置かれがちな問題を、学外機関と連携することで対応した事例であり、参考にしたい内容と言えます。
この事例の詳細を読む