事例No.2591(重複)配慮願が教員に情報共有・周知されていないと申し立て

事例紹介

事例が起きた時期

令和3年度
発生時期:入学後

事例が起きた学校

私立大学、学校規模:2,000から4,999人

対象学生

学科(専攻):保健(医・歯学を除く)、年次:2、障害種:重複 脳性麻痺による右手全指および両下肢の機能障害

支援の申し出

1.支援の申し出の受付

  • 支援の申し出:有
  • 申し出を受けた部署(者)障害学生支援部署
  • 支援の申し出を受け付ける申請書(様式):有
  • ニーズ聴き取りのための面談:実施した

2.支援が必要とされた場面

受験・入学 授業・研究指導 実習、フィールドワーク等 

申し出への対応

1.配慮内容の決定について

  • 配慮の提供に関する学内関係部署の検討・協議:実施した
  • 検討協議に参加した部署(者):障害学生支援部署 入試担当部署 学生生活支援担当部署 教務担当部署 教育部門 保健管理部門
  • 配慮内容の決定過程:建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった
  • 学内関係部署への配慮依頼文書の配付:実施した

2.配慮内容決定後のモニタリング・フォローアップ

  • 当該学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
  • 当該学生に対して、定期面談を行なっている

相談内容

記入なし

申し出内容と配慮の提供

申し出内容1:スポーツ実習においては動作の難しい競技がある

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:スポーツの科目は競技の特性上困難があるものについては授業の担当教員が本人の希望に副って、見学での参加とし、課題の評価はレポート提出等に替えた
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:本人の要望を尊重したため

申し出内容2:音楽の科目において演奏の難しい楽器がある(左手は動くが右手は難しさがある)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:教員が、使用する楽器について配慮した
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:本人の要望を尊重したため

申し出内容3:試験時間の延長(書字において難しさがあるため)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:試験の担当教員が必要に応じて試験時間の延長に応じた
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:本人の要望を尊重したため

申し出内容4:講義・学内実習・学外実習における装具の使用

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:講義・学内実習において、装具の使用を認めるとともに、学外実習先にも実習担当教員等から装具使用の承諾を得た
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:本人の要望を尊重したため

申し出内容5:試験・課題やレポート等用紙への罫線の記入(白紙への書字において難しさがあるため)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:教員が試験・課題やレポートの提出(回答)用紙について罫線入りの様式を使用、また本人が用紙に罫線を引くことを認めた
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:本人の要望を尊重したため

配慮内容決定後の不服、不満、苦情の申し立て

不服、不満、苦情等申し立て:あった
申し立てを受けた部署:障害学生支援部署
申し立て内容:パソコンの授業や音楽の授業(演習)において装具の使用をみとめてもらっているはずなのに、演習担当の教員から「装具を使用しない方が良い」旨の指摘があり、以後は装具の使用をやめているが、装具を使用したほうが上手く演奏できる。今後も学外実習などで演奏する機会があり、装具を使用できないと不安である。配慮願が教員に情報共有・周知されていないのではないか
申し立てへの対応に関わった部署:障害学生支援部署 入試担当部署 学生生活支援担当部署 教務担当部署 教育部門(学部、担当教員等) 保健管理部門 公益通報担当部署
申し立てへの対応手順:本件については公益通報担当部署が第一報を受け付けたが、障害学生支援部署から当該学生に連絡をとり面談する
申し立てへの対応内容:障害学生支援部署が当該学生と面談を行ない、あらためて当該学生に対する配慮(支援)内容を学部・学科教員に周知した。また、当該学生の保証人に対して学科教員から説明を行なった。なお、公益通報担当部署が当該学生および本件にかかわった各部署および教員から事実確認を行なっている。
対応に関する学生の反応:納得して、問題なく修学している
学生の反応の具体的内容:実習先等での装具使用の承諾を得られたことで不安が解消され安心した様子
学外機関との連携:連携・協議し配慮を調整
連携・協議の具体的内容:学外実習先に当該学生の資料等を開示して装具使用の承諾を得た

その後の経過、課題等

本件を契機にして配慮(支援)が必要な学生の情報について教員への周知・共有の際、本人の了承を得た上で、積極的に画像(障害箇所や顔写真など)を添付するようになった。

【参照】