令和3年度奨学金の返還者に関する属性調査結果

抽出人数 回答人数 回答率 参考母数(令和3年度末)
延滞者 15,738 1,839 11.7% 128 千人(2.7%)
無延滞者 9,064
1,716人 18.9 % 4,349千人(93.6%)
  • 回答人数には無回答・不明回答を含まない。

結果の概要

1.在学中の手続等に関すること

(1)奨学金申請時に申込手続き(書類作成や入力作業)を行った者(択一)

奨学金申請時の申込手続きを「奨学生本人」が行った比率は、無延滞者では58.9%であるのに対し、延滞者では43.9%と低い。また、「奨学生本人」と「本人と親等」を合せてみても、無延滞者では83.7%であるのに対し、延滞者では68.0%しか申請時の申込手続きに奨学生本人が関わっていない。延滞者は無延滞者に比べて、親等が申請時の申込手続きを行った比率が高い。

図1-1 奨学金申請時の申込手続きを行った者(択一)

図1-1奨学金申請時の申込手続きを行った者回答比率棒グラフ;延滞者:奨学生本人43.9%、本人と親等24.1%、親25.5%、その他・覚えていない6.5%/無延滞者:奨学生本人58.9%、本人と親等24.8%、親14.3%、その他・覚えていない2.0%

(2)奨学金はどのように役に立ったか(複数回答)

奨学金がどのように役に立ったかについて、延滞者、無延滞者ともに「授業料等の学校納付金に使うことができた」が最も高い。また、延滞者、無延滞者ともに、「毎月の生活費につかうことができた」が2番目に高い。

  • 比率は回答者数に対する比率。複数回答のため、合計は100%を超える。

図1-2 奨学金はどのように役に立ったか(あてはまるものを全て選択)

図1-2奨学金はどのように役に立ったか回答比率棒グラフ;延滞者:学校納付金に使うことができた71.7%、修学費に使うことができた24.2%、生活費に使うことができた39.4%/無延滞者:学校納付金に使うことができた69.1%、修学費に使うことができた26.7%、生活費に使うことができた45.1%

回答者のうち、2つ以上の効果を感じている者は、延滞者では31.9%、無延滞者では37.6%である。

奨学金の効果の数比率棒グラフグラフ;延滞者(1,839人)いずれか1つの効果を感じている人66.5%、2つ以上の効果を感じている人31.9%/無延滞者(1,716人)いずれか1つの効果を感じている人62.1%、2つ以上の効果を感じている人37.6%

(3)返還義務を知った時期(択一)

返還義務を知った時期は、無延滞者では「申込手続きを行う前」が89.6%であるのに対し、延滞者では55.1%と約半数にとどまり、申込手続きまでの認識が十分でないことがうかがえる。また、延滞者では、貸与終了後に返還義務を知った者の合計は14.4%で、そのうち約半数の7.7%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答している。

図1-3 返還義務を知った時期(択一)

図1-3返還義務を知った時期回答比率棒グラフ;延滞者(1,839人):申込手続きを行う前55.1%、申込手続き中14.1%、貸与中7.3%、貸与終了時2.4%、貸与終了後3.6%、返還開始後3.1%、延滞督促後7.7%/無延滞者(1,716人):申込手続きを行う前89.6%、申込手続き中4.9%

2.奨学生の職業・年収

(1)奨学生本人の職業(択一)

奨学生本人の職業は、延滞者では「正社(職)員・従業員」39.9%、「非正規社(職)員・従業員」29.9%、「無職・失業中/休職中」15.7%であるのに対し、無延滞者では「正社(職)員・従業員」74.5%、「非正規社(職)員・従業員」13.2%、「無職・失業中/休職中」3.5%で、無延滞者の方が延滞者より安定した就業状況にあるといえる。

図2-1 奨学生本人の職業(択一)

図2-1奨学生本人の職業回答比率棒グラフ;延滞者(1,839人):正社(職)員39.9%、非正規社(職)員29.9%、自営業/家業7.6%、無職・失業中/休職中15.7%/無延滞者(1,716人):正社(職)員74.5%、非正規社(職)員13.2%、自営業/家業2.9%、無職・失業中/休職中3.5%

(2)奨学生本人の年収(択一)

奨学生本人の年収について、「300万円以下」の比率は、延滞者では合計68.2%であるのに対し、無延滞者では合計42.9%と大きな差がみられる。

図2-2 奨学生本人の年収(択一)

図2-2奨学生本人の年収回答比率棒グラフ;延滞者(1,839人):100万円以下15.7%、100万円超~200万円以下19.3%、200万円超~300万円以下21.8%/無延滞者(1,716人):200万円超~300万円以下22.0%、300万円超~400万円以下20.9%

3.延滞の状況

(1)延滞している理由 ※延滞者のみ

調査時点で延滞中の者に、延滞している理由を質問した。
延滞している理由は、「本人の低所得」が63.8%で最も高く、次いで「奨学金の延滞額の増加」が36.7%である。
男女別でみると、男性は女性に比べて「本人の借入金の返済」の比率が高く、女性は男性に比べて「本人の配偶者の経済困難」の比率が高い。
また、「奨学金の延滞額の増加」は男女ほぼ同率となっている。

図3-1 延滞している理由(あてはまるものを全て選択)

図3-1延滞している理由回答比率棒グラフ;男性:本人の低所得62.5%、本人の借入金の返済34.2%、返還割賦額(月額)が高い17.9%、奨学金の延滞額の増加36.0%/女性:本人の低所得65.1%、本人が失業中(無職)27.0%、本人の借入金の返済25.2%、奨学金の延滞額の増加37.5%

(2)延滞経験の有無 ※無延滞者のみ

調査時点で無延滞の者に、これまでに延滞したことがあるかを質問した。
「延滞したことがある」者は21.5%である。

図3-2 延滞経験の有無(択一)

図3-2延滞経験の有無回答比率円グラフ;無延滞者(1,716人):延滞したことがない73.6%、延滞したことがある21.5%、わからない4.9%

(3)延滞をしたときに最初にしたこと(択一)

調査時点で延滞中の者および無延滞者で「延滞したことがある」と回答した者に、延滞したときに最初に行ったことを質問した。
無延滞者は「入金した」が72.0%で最も高いのに対し、延滞者は「奨学金相談センターに電話した」が33.3%で最も高い。

図3-3 延滞をしたときに最初にしたこと(択一)

図3-3延滞をしたときに最初にしたこと回答比率棒グラフ;延滞者(1,839人):入金した12.2%、返還期限猶予を申請した16.8%、奨学金相談センターに電話した33.3%、何もしなかった14.6%/無延滞者(369人):入金した72.0%、奨学金相談センターに電話した9.2%

4.返還期限猶予制度・減額返還制度について

(1)猶予制度の認知状況(択一)

返還期限猶予制度の認知率は、延滞者で79.1%、無延滞者で61.9%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で40.9%であるのに対し、延滞者では6.3%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が54.1%と、無延滞者に比べて高い。

図4-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)

図4-1返還期限猶予の認知状況回答比率棒グラフ;延滞者(1,839人):延滞督促を受けてから知った54.1%、知らない20.9%/無延滞者(1,716人):奨学金に申し込む前から知っていた21.7%、返還が始まる前までには知っていた19.2%、返還が始まってから知った18.6%、知らない38.2%

(2)減額返還制度の認知状況(択一)

減額返還制度の認知率は、延滞者で62.1%、無延滞者で52.0%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で34.4%であるのに対し、延滞者では4.1%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が43.2%と無延滞者に比べて高い。

図4-2 減額返還制度の認知状況(択一)

図4-2減額返還制度の認知状況回答比率棒グラフ;延滞者(1,839人):延滞督促を受けてから知った43.2%、知らない37.9%/無延滞者(1,716人):奨学金に申し込む前から知っていた18.0%、返還が始まる前までには知っていた16.4%、返還が始まってから知った15.7%、知らない48.0%

(3)減額返還制度を何で知ったか(複数回答)

減額返還制度を知っている者(「奨学金に申込む前から知っていた」+「返還が始まる前までには知っていた」+「返還が始まってから知った」+「延滞督促を受けてから知った」)に、減額返還制度を何で知ったかを質問した。
延滞者は「機構からの通知」、「奨学金相談センター」で減額返還制度を知った比率がそれぞれ45.0%、23.9%で高く、無延滞者は「返還のてびき」、「奨学金申請時・採用時の資料」、「学校の説明会」で減額返還制度を知った比率がそれぞれ47.8%、36.8%、19.8%で高い。

図4-3 減額返還制度を何で知ったか(あてはまるものを全て選択)

図4-3減額返還制度を何で知ったか回答比率棒グラフ;延滞者:機構からの通知45.0%、奨学金相談センター23.9%/無延滞者:奨学金申請・採用時の資料36.8%、返還のてびき47.8%、機構のホームページ17.8%、機構からの通知13.6%、学校の説明会19.8%

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独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
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