聴覚・言語障害・言語障害のみ及び重複

 聴覚・言語障害・言語障害のみの学生への支援・配慮事例2例と聴覚・言語障害と他の障害の重複事例5例を紹介します。
 以下は、支援・配慮(または支援の申し出)の概要を、場面別、学校規模(在籍学生数)別に一覧にしたリストです。知りたい事例を選んでクリックしてください。

場面

授業、試験、移動、施設改修等

■言語障害のみ

〔学校規模〕2,000人から4,999人

■重複

〔学校規模〕10,000人以上

〔学校規模〕2,000人から4,999人

〔学校規模〕1,000人から1,999人

〔学校規模〕500人から999人

学生相談・カウンセリング等

■言語障害のみ

〔学校規模〕5,000人から9,999人

〔学校規模〕2,000人から4,999人

■重複

〔学校規模〕10,000人以上

【事例No.36】 聴覚・言語障害・言語障害のみ

場面

  • 学生相談、カウンセリング等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔5,000人から9,999人〕 
障害学生数〔11人から20人〕 対応する委員会〔学生支援室、教育委員会、教務委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
〔チューター又はティーチング・アシスタントの活用、実技・実習配慮、教室内座席配慮、FM補聴器/マイク使用、学習指導(履修方法、学習方法等)、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)〕

支援の申し出

申し出者=本人 教育学 2年次(男) 
 本人から申し出を受けた本学医学部耳鼻咽喉科言語療法士より「定期的なカウンセリングをお願いしたい」との予約があった。

申し出を受けた部署

 本学医学部耳鼻咽喉科言語療法士

対応の手順

 保健管理センターにおける精神科医による定期的なサイコセラピー

学生との話し合い

 吃音症の深刻な悩みおよび体重減少に関する悩み

支援内容

 一般的な日常生活に関するカウンセリング

その他

 定期的な本学医学部耳鼻咽喉科言語療法士によるトレーニング

学内協議参加部署・機関

 支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等

学生の反応、感想等

 本学生は定期的にアポイントをとり、自分の悩みを自由に表現することができた。大学の環境に自然に適応し、吃音症に対する悩みも徐々に軽減していった。体重も本人の希望する体重までに回復し、困ったときはいつでも相談に来なさいという保証を与えて、約1年後にカウンセリングを終了した。

【事例No.37】 聴覚・言語障害・言語障害のみ

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等
  • 学生相談、カウンセリング等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔2,000人から4,999人〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔障害学生支援委員会〕 支援担当部署・機関〔学生課、教務課、保健室、学生相談室〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
〔ノートテイク、注意事項等文書伝達、講義内容録音許可、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導、社会的スキル指導(対人関係、自己管理等)、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 人間科学 1年次(女)

◆家族(母親)
入学直前に母親より連絡がある。教室間の移動についての配慮と試験時間の延長についての配慮の希望がある。

◆本人

以上の4点について要望があがる。

申し出を受けた部署

 入学直前に母親より学生課に連絡あり。入学後、本人より障害学生支援室あてに相談があり、その後継続的に支援を行なっている。

対応の手順

 本人から聞かれた希望(教室の変更、授業内での各種配慮)に関しては、教務関係の部署や学科教務担当教員と協議の場を持ちながら、配慮方法などを検討する。また、障害学生支援室がアセスメントを行ない、その情報をもとに学科担当教員が配慮願いを作成する。

学生との話し合い

 相談を通じてアセスメントを行ない、必要な支援を学科担当教員に報告した上で、可能な支援について本人とすり合わせを行なっていく。

支援内容

 教室変更、授業内のレポートに関しての配慮、試験時間の延長、試験解答方法の変更(学内PC利用)

学内協議参加部署・機関

 支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等

学生の反応、感想等

 診断名も特定できず、有効な治療方法がないとのことで、今後も経過を見ながら配慮方法や支援内容が変化することが考えられる。継続的な関わりを続けている。

【事例No.38】 重複・難聴・アスペルガー症候群

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等
  • 学生相談、カウンセリング等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔学生支援センター〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
〔ノートテイク、パソコンテイク、ビデオ教材字幕付け・文字起こし、試験時間延長・別室受験、注意事項等文書伝達、教室内座席配慮、FM補聴器/マイク使用、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 文学 1年次(男)
 聴覚障害(難聴)のため授業情報保障の要望、及びアスペルガーによる様々な困難に対する支援を要望。

申し出を受けた部署

 障害学生支援室、学部担当者

対応の手順

 コーディネーターとの面談によるニーズの把握(当該学生、保護者)、当該学生所属学部に学生の特徴、必要な配慮について「配慮文」を提出。

学生との話し合い

 支援学生に対し、「発達障害」に関する講習会を実施し発達障害の理解を促した。

支援内容

 ノートテイクによる授業支援。コーディネーターによる定期的面談及び修学やスケジュール立案の支援。

学外連携

 就労移行支援機関との連携。

その他

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)プログラムの実施による自立支援の実施。

学内協議参加部署・機関

 委員会、支援担当部署、所属学部・教員

学生の反応、感想等

 聴覚障害学生に対する授業情報保障の支援方法や技術等は安定してきているが、発達障害学生に対する支援は特定の方法がないため、個別ニーズに即した支援の構築が必要であり、専門的知識を持つ担当者を安定的に雇用する必要がある。

【事例No.39】 重複・難聴・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔ない〕 支援担当部署・機関〔学生部学生課〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
平成26年度調査時点では、聴覚・言語障害学生の在籍なし(事例は過去年度のものです)

支援の申し出

申し出者=本人 文学 (女)
 入学時、支援申請書により、手足に麻痺があり補装具使用、聴覚障害ありと判明。
 授業への配慮としてFM補聴器と専用マイク、ノートテイクの希望あり。

申し出を受けた部署

 学生課・保健室

対応の手順

 学生課・保健室で本人と個別面談を行ない支援内容を決定。

学生との話し合い

 初めに学生の障害内容及び支援内容の希望を聞き、その後話し合いの中で職員が支援できる内容を提案していった。

支援内容

 講義中教員にFM補聴器専用マイクを使用してもらいFM補聴器で聞き取れるよう配慮。講義とガイダンス、新入生オリエンテーション、入学式、卒業式などの学内行事にノートテイカーを2名配置(地域ノートテイカー費用は大学負担)。専用ロッカーの貸出(無料)、保健室で随時相談対応、休憩室の確保。

学外連携

 地域ノートテイカー

学内協議参加部署・機関

 所属学部・教員、保健室、学生課

ニーズへの対応

 できなかった内容=本人が希望する講義全てにはノートテイカーの配置ができなかった。
 できなかった理由=ノートテイカーの不足で都合のつかない時があった。

学生の反応、感想等

 当初学内でノートテイカーがおらず、外部ボランティアの地域ノートテイカーに依頼。本人の希望を聞きながら講義等に配置したが、急な休講や欠席等が生じると学生課が地域ノートテイカーに連絡することになるため、本人が気をつかって体調不良でも休みづらくなり無理しがちになる面もあった。入学の翌年学内にノートテイクサークルが発足され、地域ノートテイカーと共にノートテイク支援をした。

【事例No.40】 重複 ネイジャー症候群 難聴・上肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔2,000人から4,999人〕 
障害学生数〔2人から5人〕 対応する委員会〔学生部委員会〕 支援担当部署・機関〔学生課〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
〔注意事項等文書伝達、実技・実習配慮、FM補聴器/マイク使用〕

支援の申し出

申し出者=本人 人間科学 3年次(女) 
 ネイジャー症候群により、左手、指、関節機能障害、聴力障害(補聴器使用)がある。運動に制限があるため、基本的に見学等を希望。講義時マイク使用であれば聞き取ることができる。

申し出を受けた部署

 入学時の学生カードへの記載(学生課)、健康診断での障害者手帳提出(保健センター)、授業での配慮の有無の確認(教務係)

対応の手順

 入学式前日4月2日:学生課より学生カードの申出連絡
 →4月5日:教務係から学生を呼出し面談、学科へ報告
 →クラス担任が学生と面談
 →4月7日:学科より協力依頼文書が配付(学科内、必修科目担当者へ周知)
 →4月9日:授業・履修登録開始
 →4月24日:履修登録確定、科目担当者へ協力依頼文書配付、周知

学生との話し合い

 補聴器を使用しているため、雑音が多いと聞き取りづらいとのことだが、事務室内で他の音がある中で1対1の面談は支障なかった。普通と変わらないことへの配慮は不要とのことだった。

支援内容

 体育(必修科目)担当非常勤教員に事前連絡→体育は見学、レポート提出。科目担当者へ周知→講義中にマイクを使用し、教員の声を聞こえやすくした。

学内協議参加部署・機関

 所属学部・教員

【事例No.41 】 重複・難聴・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔1,000人から1,999人〕 
障害学生数〔6人から10人〕 対応する委員会〔学生委員会〕 支援担当部署・機関〔学生課、保健室、学生相談室等〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
〔ガイドヘルプ、ノートテイク、試験時間延長・別室受験、注意事項等文書伝達、実技・実習配慮、教室内座席配慮、保護者との連携、通学支援(保護者運転自動車通学の許可等)〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 社会学(保健福祉) 2年次 
 聴覚障害、歩行困難、右手の機能障害などがあり、学生生活において援助が必要であるが、できる限り他の学生と同じ生活を希望しており、本人ができることは何でもさせている。
 現状の照明では、夕方の歩行に支障があるので、キャンパス内の明るさが足りない場所に外灯の増設を希望。
 保護者からも申し出あり。

申し出を受けた部署

 当該学科の教員、保健室(学生課)

対応の手順

 授業の受講について学科と事務局で相談。外灯の増設については事務局で相談し、起案を回覧。

学生との話し合い

 授業等の受講支援、外灯の増設を当該学生に説明。

支援内容

 授業中はノートテイカー学生による支援を実施。学内の移動も可能な限り学科の学生がサポート。なお、ノートテイカー等サポート学生に関しては学科の実習指導室が対応し、当該学生本人にはアドバイザー教員と実習指導室とが対応。キャンパス内の明るさの足りない場所2か所には外灯を1基ずつ設置。

学内協議参加部署・機関

 所属学部・教員、保健管理センター等

【事例No.42】 重複・聾・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立短大 学校規模〔500人から999人〕 
障害学生数〔1人〕 対応する委員会〔教務委員会〕 支援担当部署・機関〔教務課〕
◆聴覚・言語障害学生への支援◆
平成26年度調査時点では、聴覚・言語障害学生の在籍なし(事例は過去年度のものです)

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 文化学(生活文化) 2年次(女) 
 入学後、本人及び特別支援学校の元担任からの要望により、今後の通学方法、学内での生活、受講方法、交友関係等について、短期大学にて話し合われた。
 診断書はなかったが、特別支援学校側より本人の詳しい履歴等の資料が提出された。

申し出を受けた部署

 所属学科 学科長および学科長補佐

対応の手順

 教務委員会にて協議、決定し、全教員へ伝達した。

学生との話し合い

 本人の障害の状況および要望を聞き、対応について提案した。

支援内容

 本人の意思を尊重し、通学や学校生活については特に配慮はしていないが、講義の受講時に座席の配慮及びタブレット端末(黒板の撮影等のため)の使用を許可した。また、定期試験において試験用紙の拡大印刷及び、筆記試験でのノートパソコン使用を許可した。

学内協議参加部署・機関

 委員会

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