肢体不自由・上下肢機能障害

 肢体不自由・下肢機能障害の学生への支援・配慮事例、全16例を紹介します。
 以下は、支援・配慮(または支援の申し出)の概要を、場面別、学校規模(在籍学生数)別に一覧にしたリストです。知りたい事例を選んでクリックしてください。

場面

入学者選抜等(受験上の配慮を含む)

〔学校規模〕10,000人以上

〔学校規模〕5,000人から9,999人

授業、試験、移動、施設改修等

〔学校規模〕10,000人以上

〔学校規模〕5,000人から9,999人

〔学校規模〕2,000人から4,999人

〔学校規模〕1,000人から1,999人

進級、卒業、就職、学外実習等

〔学校規模〕10,000人以上

〔学校規模〕2,000人から4,999人

〔学校規模〕500人から999人

学生相談、カウンセリング等

〔学校規模〕10,000人以上

学外生活(通学、入寮等)

〔学校規模〕5,000人から9,999人

〔学校規模〕2,000人から4,999人

【事例No.20】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等
  • 進級、卒業、就職、学外実習等

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔学生部委員会〕 支援担当部署・機関〔学生部、学務部〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔ガイドヘルプ、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、使用教室配慮、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、論文発表時の資料配布に関しての支援、進路・就職指導、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、疾病管理〕

■支援の申し出
申し出者=本人・本人以外 情報学 3年次
 1年生の時の交通事故による上下肢機能障害のため、車椅子での生活を余儀なくされた。
以下3点について対応を尋ねられた。

また、学生本人より1点要望があった。
 CALL教室(コンピュータを活用した語学学習室)及びPC教室での授業の際、キーボード操作が不便な為、障害者向けのマウスを利用したい。

申し出を受けた部署

学生生活課、教務課、学術情報課(教務課より要望の連絡)、入試課(転学部試験について)

対応の手順

 母親からの状況説明を元に教務、学生生活、庶務、施設関連の4部署と協議し、学生退院後の学習の継続性を支援すべく、必要に応じて協議し、可能な限り対応した。またPC教室等での授業の際にキーボードを使用するに当たり学術情報課において障害者向けマウス取扱業者(特定非営利活動法人)と連絡を取り合った。

学生との話し合い

 学生とは気軽に話せるような雰囲気を作り、窓口中心に、たびたび相談などを受け、できる限りの対応を行なった。提案したマウスについては1週間ほど試してもらった。

支援内容

 教員への授業での配慮のお願い、教室座席の配慮、専用机、スペースの確保、公開パソコン室での専用PCの準備、試験問題及び試験時間の配慮、介助者の車両入校の許可、学生からの種々のヘルプへの対応。またマウスについては、使いやすいとのことで事務室で1台購入し、支援者が授業開始前及び終了後にマウスを設置・回収している。学生がPCを使いやすくするために通常の椅子を移動(授業時間中一旦教室の端に移動/元に戻す)したり、PCの画面及びキーボードを通路側に傾けたり(元に戻す)等行なっている。

その他

 上記マウスについては学生が自宅用にも自費で購入し使用している。また転学部試験の際試験方法(実施キャンパス・試験科目)について学科主任会で協議し配慮した。

学内協議参加部署・機関

 所属学部・教員

学生の反応、感想等

 学生、母親より感謝の言葉があった。

【事例No.21】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等
  • 学生相談、カウンセリング等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔教学部〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔教室内座席配慮、授業担当教員へ周知、学習指導(履修方法、学習方法等)、出身校との連携、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 経営学 1年次(女)
 当該学生の出身高校担任教諭より大学の学生相談室に連絡が入り、当該学生が学生生活に支障をきたし、修学意欲をなくしているとの報告があった。学部教務課が本人と面談を行なったところ、入学当初は支援がなくても授業等に差し支えないと思っていたが、実際に授業を受けていく中で、支障をきたしており、学生生活介助をお願いしたいとのことであった。

申し出を受けた部署

申し出者=本人・本人以外 経営学 1年次(女)
 当該学生の出身高校担任教諭より大学の学生相談室に連絡が入り、当該学生が学生生活に支障をきたし、修学意欲をなくしているとの報告があった。学部教務課が本人と面談を行なったところ、入学当初は支援がなくても授業等に差し支えないと思っていたが、実際に授業を受けていく中で、支障をきたしており、学生生活介助をお願いしたいとのことであった。

申し出を受けた部署

 学生相談室カウンセラー、当該学部の事務職員

対応の手順

 当該学生と当該学部の教員(学生生活主任)、事務職員及び関連部署(教学部、学生部)の事務職員による面談を行なった後、支援者の調整を行ない、実際の介助を行なう。

学生との話し合い

 面談の中で、主として以下の点について支障をきたしていることを聞き、介助者を探すことになった。
1)教室のドアの開閉 2)入り口ドア前の段差 3)昇降機の操作 4)雨天の日の合羽の置き場所や着脱 5)パソコンのマウス操作

支援内容

 上記1)~4)について生活介助者をつけた。本人の修学意欲に関しては、カウンセラーが定期的に面談を実施。マウスについては現在対応検討中である。

学外連携

 同志社大学障がい学生支援室(マウス導入に関するアドバイス)

その他

 介助者を探すにあたり、当該学部内だけではなく、学内で随時、支援協力をしてもらえる学生を募っており、今回はその登録者の中から2名に支援協力をお願いすることになった。

学内協議参加部署・機関

 支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等

学生の反応、感想等

 介助者によるサポートは問題なく行われている。学習意欲の改善にまでは至っていないが、カウンセラーとは良い信頼関係を築いている。マウスについては、学部及び情報機器管理部署と協議中。トラックボールマウスは操作しづらいとのことであり、障害学生修学支援ネットワーク拠点校でもある同志社大学障がい学生支援室からアドバイスを受けながら、引き続き対応を検討中である。

【事例No.22】 肢体不自由・上下肢機能障害(脳性まひ)

場面

  • 進級、卒業、就職、学外実習等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔ガイドヘルプ、ノートテイク、チューター又はティーチング・アシスタントの活用、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、代筆、配慮依頼文書作成、福祉タクシーでのキャンパス内移動、障害別の学生支援・準備室とその設備の利用、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人 文系 4年次
 脳性まひ1級で、電動車いすを使用し、上肢操作が困難だが筆記は可能である。コミュニケーションに不自由はない。食事、排泄に介助が必要である。
 この学生がソーシャルワーク実習に際し、通勤時の介助、トイレ介助を相談してきた。

申し出を受けた部署

障害学生支援部署

対応の手順

 実習担当教員、障害学生支援部署が対応した。

学生との話し合い

 協議では、本学の支援学生制度は学内授業等における支援を対象としており、学外実習等については個別に相談に応じ検討することとなるため、必ずしも要望に応えられないことをあらかじめ伝えた。その上で学生と話し合ったところ、同じ日程で実習する学生(女性)が支援学生登録していることがわかったため、その学生に介助を照会し了解を得た。

支援内容

 その学生には、通勤時の介助とトイレ介助を依頼した。

学外連携

 実習オリエンテーションに際して実習先職員(社会福祉事務所)と協議し、トイレ介助の一部を実習先職員が行なうこと、その他実習に際して必要な配慮を行なうことを協議し了解を得た。

その他

 トイレ介助を除く実習時に必要な介助については、同じ日程で行なう他の実習生についても適宜介助に協力することを確認した。

学内協議参加部署・機関

 委員会、所属学部・教員

学生の反応、感想等

 同じ日程で実習する学生がいない場合、あるいは協力が得られない場合は、同様の対応は困難である。

【事例No.23】 肢体不自由・上下肢機能障害(痙直型四肢麻痺、左股関節亜脱臼)

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔保健管理センター、学務部学部〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔ガイドヘルプ、ノートテイク、チューター又はティーチング・アシスタントの活用、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、代筆、配慮依頼文書作成、福祉タクシーでのキャンパス内移動、障害別の学生支援・準備室とその設備の利用、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人 文系 1年次
 痙直型四肢麻痺、左股関節亜脱臼、電動車椅子使用、上肢はやや微細運動に困難あるものの、筆記や食事は介助不要。コミュニケーション困難なし。
 入学前の修学相談の一環として、体育の受講について相談があった。

申し出を受けた部署

 教育組織、障害学生支援部署

対応の手順

 入学前協議の場を設け、本人、保護者ならびに担任、共通授業担当教員、障害学生支援部署などが参加した。

学生との話し合い

 体育の授業概要について説明するとともに、体育の教員に相談した。また体育のオリエンテーションに参加した。

支援内容

 「トリム運動」を履修した。障害など受講生の条件に合わせて授業プログラムを調整し、実施する体育の授業である。教室(体育館)が遠方だったため、福祉タクシーを利用した。またタクシーから体育館への移動やその他授業準備には、体育のTA(ティーチング・アシスタント)が対応した。

【事例No.24】 肢体不自由・上下肢機能障害(脳性まひ)

場面

  • 進級、卒業、就職、学外実習等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔ガイドヘルプ、ノートテイク、チューター又はティーチング・アシスタントの活用、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、代筆、配慮依頼文書作成、福祉タクシーでのキャンパス内移動、障害別の学生支援・準備室とその設備の利用、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 文系 1年次
 脳性まひ1級で、電動車いすを使用。授業(特別支援学校の見学)に際し、自動車による移動が必要な箇所について支援を検討して欲しい。

申し出を受けた部署

 授業担当教員

対応の手順

 担任・所属教育組織を通じて障害学生支援部署に相談があった。関係者で意見交換したところ、電車、バスの乗換えは駅員の介助を利用して移動可能だが、一部のルートでは見学先までの交通機関の運行が十分ではないことが分かった。障害学生支援部署では学外の支援(支援学生派遣など)については個別に検討することを伝えた。そこで教育組織は支援願いを障害学生支援部署に出した。検討の結果、交通機関の運行が不十分な箇所は福祉タクシーを用いることとし、その費用を障害学生支援部署が負担した。その他の移動については学生が単独で行ない、支援が必要な場合は知人・友人に相談して対応することとした。

学生との話し合い

 これらの結果について、教育組織ならびに学生に伝え了解を得た。

支援内容

 学生、授業担当教員と障害学生支援部署が連絡を取り合って、現地での福祉タクシー利用の調整を行なった。費用は障害学生支援部署が負担した。

学外連携

 現地の福祉タクシーを利用。

その他

 次年度以降の後輩に利用してもらえるよう、本授業における交通機関の利用などについて留意点やアドバイスを、学生にレポートとしてまとめてもらった。

学内協議参加部署・機関

 委員会、所属学部・教員

学生の反応、感想等

 交通機関利用についてのレポートは、準備するものや駅員との対応など丁寧に作成してくれた。

【事例No.25】 肢体不自由・上下肢機能障害(頚椎損傷)

場面

  • 入学者選抜等(受験上の配慮を含む)

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔ガイドヘルプ、ノートテイク、チューター又はティーチング・アシスタントの活用、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、代筆、配慮依頼文書作成、福祉タクシーでのキャンパス内移動、障害別の学生支援・準備室とその設備の利用、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人 オープンキャンパス対応
 頸髄損傷のために上肢、下肢に不自由がある。大学説明会(オープンキャンパス)への参加を希望するが、支援を受けることは可能か(本学への入学を希望する高校生からの申し出)。

申し出を受けた部署

 本学の入試課、および障害学生支援部署。オープンキャンパスの参加希望者用のホームページに、障害をもつ生徒専用の入力フォームを設けており、そこに入力された情報が入試課と障害学生支援部署に届く流れになっている。

対応の手順

 メールや電話にて、事前に本人の状態と要望を確認し、支援の計画を立てた。その後、本人が参加を希望する教育組織へ情報を提供し、配慮を依頼した。また、支援学生の派遣、駐車所の確保などを行なった。

学生との話し合い

 メールや電話によって、当日の対応の準備、調整を行なった。

支援内容

 身体障害者用駐車場への誘導、各会場における車椅子用の席の確保、支援学生による会場間の移動支援、支援学生によるノートテイク支援を行なった。また、障害学生支援部署独自で説明会を実施し、本学の障害学生支援体制についての説明や、本学に在籍する障害学生との個別相談会を設けた。

学内協議参加部署・機関

 委員会、所属学部・教員、入試課

学生の反応、感想等

 オープンキャンパス時の高校生からの要請に対する対応に関して報告した事例であり、当日の質疑応答他の対応については、当該教育組織(修学について)ならびに障害学生支援部署(支援等について)が実施している。

【事例No.26】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔10,000人以上〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔パソコンの持込使用許可、使用教室配慮、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、休憩室の確保、教員への配慮依頼(文書伝達)、教室間移動サポート、掲示物窓口対応、進路・就職指導、社会的スキル指導(対人関係、自己管理等)、特別支援学校との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)、介助者の入構、入室許可、経済支援(障害学生学業奨励奨学金等)、正課外プログラム(講演等)における情報保障、緊急避難時マニュアルの作成・共有〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 物理学 2年次(男)
 以下は、入学時の申し出内容(本人および保護者同席の面談において)

「介助員の採用」 日常の大部分で介助が必要であり、特に排泄介助において、専任教職員に対応してもらいたい。費用については自己負担分が発生しても構わない。
「車椅子で授業を受けられる教室の調整」 日頃より電動車椅子を利用しており、入室が可能な教室と机を用意してほしい。
「多目的トイレへの移乗台設置」 介助者一人で行なう場合、衣服の着脱のために移乗台が必要となる。

申し出を受けた部署

 受験前に、学部長・教務部・障害学生支援室にて面談を行ない、学生生活上での不安な点について聴き取りを行なった。合格決定後に本人から生活面における相談をしたいとの申し出があり、保健室・総務部・障害学生支援室にて上記申し出内容を受け付けた。入学前に支援メニューの一環として行なっている面談を、学部教員、言語科目主任、教務部、学生部、障害学生支援室にて行なった。

対応の手順

  • 「介助員の採用」について
    生活面の面談を担当した部署間で検討した。専任教職員雇用は費用面で難しく、用務員の活用も検討したが外部委託のため委託条件の変更が困難であると判断した。学生の居住する自治体の福祉制度も利用できないことを確認した。外部ヘルパーにて授業間の休み時間のみ対応し、費用は大学が負担することを大学の承認を得て決定した。
  • 「車椅子で授業を受けられる教室の調整」について
    支援メニューにあるため、調整については協議なし。ただし、よく利用する教室棟にエレベーターが設置されておらず、施設課および大学に設置を要請したが構造上の問題から建物自体の建て替えの必要があり実現には至っていない。また、施設課に本人の希望を受けて要請し、複数の教室で車椅子で利用できる可動机に改修を行なった。
  • 「多目的トイレへの移乗台設置」について
    大学に直接申し入れて常設1台の購入・設置の承認を得た。

学生との話し合い

  • 「介助員の採用」について
    希望通りの対応ではないが、大学の支援の考え方や本人にとっての卒業後の社会生活を見据えた決定であることを説明し、本人・保護者ともに納得した。
  • 「多目的トイレへの移乗台設置」について
    利用しやすい移乗台の情報を本人に聞き、出来るだけ類似のものを設置するよう努めた。

支援内容

  • 「介助員の採用」について
    本人が日頃利用している外部ヘルパー業者に委託し、毎学期の履修科目に合わせてシフトを組んで対応。委託費は毎月請求書を大学宛に発行し対応。オートバイの乗り入れ許可等を大学に申請した。
  • 「車椅子で授業を受けられる教室の調整」について
    入室ができない教室については履修予定科目が分かった段階から、教務部にて教室変更の調整を行なっている。施設課とは定例打合せを行なっており、エレベーター設置および車椅子座席の狭い教室の改修を要望した。教室の改修に関しては、学内調整を行なった上で、要望のあった教室は1年次夏季休業中に改修を行なった。
  • 「多目的トイレへの移乗台設置」について
    4月授業開始前に常設で1か所設置。支援予算で可動式の移乗台をさらに2台購入し、よく利用するトイレともう一方のキャンパスにも設置した。

学外連携

  • 「介助員の採用」について
    地域の保健福祉センターへ訪問し、本人の福祉制度利用が出来ない現状を伝え、大学内での介助を福祉制度として新たに検討してもらえるよう要請した。

学内協議参加部署・機関

 委員会、支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等、総務部

ニーズへの対応

 できなかった内容=施設・設備、支援者の配置
 できなかった理由=費用が大幅にかかる等

学生の反応、感想等

 高校までは専属の介助員が採用され毎日対応していた。大学は履修登録状況によってキャンパスにいる時間が異なり、専属の介助員の勤務時間を柔軟に定めるといった対応は非常に困難である。サポート学生に担当してもらうことも考えたが、まずは安全に安心してキャンパス生活を送れるようにと考え、外部ヘルパーの利用という選択をした。実際に社会に出たら、ヘルパーを自ら依頼することになるであろうし、その予行演習としての支援という位置づけと考えている。実際に、ヘルパーとのやりとりは本人自ら行ない、費用負担は大学であるため、時間変更やキャンセル等も本人が障害学生支援室と密に連携している。支援制度を上手に利用しながら、社会性も身についてきている。

【事例No.27】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 学外生活(通学・入寮等)

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔5,000人から9,999人〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔教材のテキストデータ化、教材の拡大、ガイドヘルプ、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、使用教室配慮、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導、出身校との連携、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、生活介助(体位変換、トイレ介助等)、医療機器、薬剤等の保管等、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人 社会福祉学 1年次(女)
 車椅子を利用している肢体不自由学生が、片道1時間30分をかけて本学まで通学している。その中で、直通通学バスを利用することとなったが、このバスのみ一般学生と同じ金額で乗車せねばならない状況であった。彼女が利用している公共交通機関では障害者割引が適用されるのに、どうして通学バスだけは適用されないのか、といった申し出が入学直後にあった。

申し出を受けた部署

 申し出を受けたのは、障害学生の窓口となっている障害学生支援室。

対応の手順

障害学生支援室から本部に相談し、通学バス担当所管である庶務課とどのようにするかを検討。

学生との話し合い

 実際に現在利用している公共交通機関では、どのぐらいの割引となっているのかを確認。通学バスは、通常の公共交通機関の定期よりも30%程割安になっていることも伝えた。

支援内容

 通学バスの全ラインで、障害者手帳を持っている学生は定期券の場合は、通常価格の4割引きで、回数券の場合は5割引きで購入することとなった。また、悪天候の場合は付き添いの学生が必要となるが、その学生が利用する場合は、上述した割引のきいた回数券を利用することとした。

学外連携

 通学バスの定期販売所が学内に何か所もあるため、1か所でのみ購入できるように調整。結果、バスの乗降場から1番近い、委託している警備会社の詰所で販売することとした。また、バスの待ち列の幅が狭く、車椅子学生が入れないため、運営しているバス会社にも彼らの使っているライン、乗降する時間等を伝えて、本来の乗降場所とは異なる場所で待っていることを伝え、了承を得ている。

学内協議参加部署・機関

 支援担当部署

学生の反応、感想等

 定期券運賃の割引適用の要望が通ったためか、1.バスの本数を増やしてほしい、2.クラブ活動があるので、その時間のバスも運行してほしい、3.バスのラインそのものを変えてほしい等の要求を投げかけてくるようになった。しかし、それは障害のあることに関係のない個人的な事情であるので認められないことを伝えると、納得した様子である。

【事例No.28】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔5,000人から9,999人〕 
障害学生数〔11人から20人〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔専門部署・機関〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔試験時間延長・別室受験、使用教室配慮、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、代理ノート、授業中の教科書等のページめくり〕

支援の申し出

申し出者=本人 教育学 1年次(女)
 修学にあたっての介助者の配置

申し出を受けた部署

 障害学生支援室

対応の手順

 入学確定後に指導教員、学生支援担当教員、専門教員、学部事務職員、障害学生支援室職員、その他関係者等と当該学生との支援内容等の協議後、市内の介助者派遣センター等に問い合わせ、介助者の派遣契約を行なった。

学生との話し合い

 当該学生とは支援室専門教員が連絡を取り、確認をしていたので、本人の意向や必要な支援についても本人と保護者を含め、円滑に関係者と話し合いができた。

支援内容

 当該学生の時間割に合わせて介助者のスケジュールを毎週組み、当該学生が大学にいる間は介助者が常時待機しているようにした。基本的に、講義中は他の受講学生にページめくり等を支援してもらい、これを担当教員から受講学生へ指示促しをしてもらうよう協力のお願いをした。介助者は、講義時間以外の学内での移動、食事介助や身体介助の支援を業務とした。

学外連携

 労働者派遣事業所

その他

通学手段、方法についての支援は行なっていない。

学内協議参加部署・機関

 委員会、支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等

学生の反応、感想等

 対象学生も障害学生支援室も、介助者利用については初めてであり、手探り状態での支援開始であった。そのため、対象学生と介助者との関係作りや距離感などについて助言やフォロー等が十分にできなかった。介助者を利用しながら、周囲の学生との関係作りといった点も考慮した支援の全体像を、関係者で共有しながら進めていく必要があると感じた。

【事例No.29】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 入学者選抜等(受験上の配慮を含む)
  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔5,000人から9,999人〕 
障害学生数〔11人から20人〕 対応する委員会〔ない〕 支援担当部署・機関〔学生部学生課〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔ノートテイク、教室への移動補助、車椅子専用の脱着式テーブルの脱着補助、OSCE試験に対して学校医の意見書作成〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 法学 1年次(男)
 入学試験前および合格後に、当該学生と保証人から以下の内容について支援の申し出があった。

入学後には(授業を受講し始めてから)、特定の授業科目についてノートテイクの要望があった。

申し出を受けた部署

入学試験の配慮については入試部、入学後の支援については主に教務課が窓口となり対応した。

対応の手順

 入学試験前に当該学生および保証人から入試部へ支援の申し出があった。本人、保護者、高校教員、本学教職員により具体的な支援内容について協議した。
 その後、当該学生および保証人に来学いただき、支援の内容について改めて詳細を伺う機会を設け、大学として対応可能なことについて説明を行なった。同時に大学の施設について現場見学を行なった。
 入学手続き完了後に再度、当該学生および保証人と話し合う機会を設けた。ここでは、学生課、教務課、学部事務室(当該学生の入学学部)の教職員が、改めて入学後の支援内容について確認を行なった。

学生との話し合い

 授業開始後は、電動車椅子に取り付ける補助机を教務課にて引き渡しするため、ほぼ毎日当該学生とコミュニケーションをとる機会がある。その都度、学業および学内での生活において不便に感じることがないかのヒアリングを実施している。その中で一部の授業についてノートテイクの要望があり、担当部署とも相談の上ノートテイカーを配置した。

支援内容

 入学試験時は、出願書類の拡大(A4→B4)、試験時間の延長〈小論文〉(60分→80分)、小論文解答用紙の拡大(B4→A3)、別室での受験。
 入学後は、授業および定期試験での座席指定、定期試験解答用紙の拡大、授業科目の教室配当にかかる配慮(移動困難な教室への配当を行なわない)、体育実技科目の授業内容について配慮(別メニューによる授業実施)、ノートテイカーの配置、当該学生の履修授業科目担当者に学業生活における配慮依頼文書の配付。

学内協議参加部署・機関

所属学部・教員、保健管理センター等、学生部、教務部

ニーズへの対応

 できなかった内容=支援者の確保
 できなかった理由=日常生活行動もしくは、動作について援助ができる専門の職員がいないため。

学生の反応、感想等

 支援者の配置については、学生本人が市の支援者団体に相談を行ない、1名ないし2名のボランティアスタッフを配置している。
 学内における日常生活行動および動作については、そのボランティアスタッフが支援している。

【事例No.30】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立大学 学校規模〔2,000人から4,999人〕 
障害学生数〔6人から10人〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔教務課、学生支援課〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔チューター又はティーチング・アシスタントの活用、実技・実習配慮、専用机・イス・スペース確保、学習指導(履修方法、学習方法等)、進路・就職指導〕

支援の申し出

申し出者=本人以外 教育学 3年次(男)
 指導教員から、支援が必要と思われるとの申出があった。
 入学試験前には事前相談を受けておらず、入学式後のガイダンスで指導教員が気づき、障害者であることが発覚した。
 つま先立ち状態でゆっくりとバランスを取りながら歩いている、左手が上に上がらない状態、立ち姿勢での静止状態は30秒が限界。

申し出を受けた部署

 指導教員から教務課へ相談があった。

対応の手順

 直ちに学生・連携担当理事、指導教員、教務課職員、肢体不自由者に詳しい教員で話し合いを設け、肢体不自由者に詳しい教員からアドバイスをいただく形で支援内容を決定した。その後は指導教員と教務課職員が窓口となり、関係教員と連絡を密に支援を行なった。

学生との話し合い

 学生からニーズを聞いた後、可能な支援内容について指導教員と教務課職員、肢体不自由者に詳しい教員から提案し、本人は納得した。

支援内容

 実験授業においてはティーチング・アシスタントを配置し補助にあたった。体育の授業では彼の希望を聞き、体に負担の少ない種目を選択させた。学外での実習時の移動においては車椅子の利用を勧めた。

学内協議参加部署・機関

 支援担当部署、所属学部・教員

学生の反応、感想等

 指導教員と教務課職員、肢体不自由者に詳しい教員との話し合いの場を定期的に設けている。
 また、教務課職員と当該学生との間で話し合いの場を設けている。

【事例No.31】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等
  • 学外生活(通学・入寮等)

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔2,000人から4,999人〕 
障害学生数〔6人から10人〕 対応する委員会〔学生部委員会〕 支援担当部署・機関〔学生支援課〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔使用教室配慮、特別支援学校との連携、出身校との連携、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人・本人以外 経営上法学 2年次(男)
 電動車椅子を使用しているので、送迎の為に構内に自家用車両の乗り入れをしたい。また、主な講義棟のエレベーターが狭く、車椅子が乗れないため、改修して欲しい。

申し出を受けた部署

 健康管理センター員と担当事務職員

対応の手順

 車の乗り入れに関しては総務部に依頼し、車両入構許可証を発行した。

学生との話し合い

 エレベーターについては改修工事に時間とお金がかかりすぎるので困難であることを説明。
 お互いにできること、できないことが明確なため、納得してくれた。

支援内容

車両入構許可証を発行した。また、障害者専用駐車スペースを確保した。

その他

 結果、学生が使用している車椅子を小型化することでエレベーターの問題は解消した。

学内協議参加部署・機関

 支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等

ニーズへの対応

 できなかった内容=施設・設備
 できなかった理由=エレベーターの改修という大規模な工事であったため

【事例No.32】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
公立大学 学校規模〔1,000人から1,999人〕 
障害学生数〔2人から5人〕 対応する委員会〔教務委員会・施設委員会・学生委員会・入試委員会〕 支援担当部署・機関〔教務課学生支援・就職担当〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、専用机・イス・スペース確保、エレベータ等の休止等の個別連絡、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)、介助者の入構、入室許可〕

支援の申し出

申し出者=本人以外 情報学 3年次(男)
 保護者および出身学校から入学後の配慮について依頼があった。

申し出を受けた部署

 関係教職員(教務委員長、システム委員長、教務課長、入試担当、教務担当、学生担当、情報担当)

対応の手順

 講義を実際に受講して初めて気づく点や、対応が生じることがあると思われるため、当該学生が履修する必修科目担当教員のメーリングリストを作成し、情報収集・情報共有することとした。

支援内容

学内協議参加部署・機関

 委員会、支援担当部署、所属学部・教員、保健管理センター等

【事例No.33】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
国立高専 学校規模〔1,000人から1、999人〕 
障害学生数〔21人以上〕 対応する委員会〔学生相談室委員会〕 支援担当部署・機関〔総学生課、保健室〕
◆肢体不自由学生への支援◆
平成26年度調査時点では、肢体不自由学生の在籍なし(事例は過去年度のものです)

支援の申し出

申し出者=本人以外 電子工学 4年次(男)
 部活動中の怪我による受傷によって障害を負った。学校として支援が必要と考え、支援委員会を立ち上げた。

申し出を受けた部署

 学生課

対応の手順

 復学前に主治医より障害状況や学校生活上気をつける事柄について情報を得た。その後、支援委員会を中心に全学的に具体的な支援について検討した。

学生との話し合い

 学生本人からの具体的な支援の申し出がない状況であったので学校側が提案し実施するという形で進んだ。

支援内容

 介助員の配置、支援学生の選出、ハード面の整備(エレベーター、スロープ設置、体温調節が困難なため研究室の空調整備、休養室として保健室を利用、身障者用トイレに暖房設置、残存機能を活かしてタイピングができるソフトの開発およびメンテナンスなど)

学内協議参加部署・機関

 委員会、所属学部・教員、保健管理センター等

学生の反応、感想等

 もともと優秀な学生だったので専攻科に進学、無事修了できたが、その後の進路について活路を開くことができなかった。修了決定後に、本人より、復学後に学校側が準備した介助員の存在によって学生間で芽生えていた支援体制がうまく機能できなくなってしまったこと、学生本人はもっと学生間の交流を求めていたが、その思いを学校側に上手く伝えられずにいたことを聞かされた。今後は、支援者本人のニーズを十分に把握し、望む支援が提供できるよう、まずはしっかりとした信頼関係を築くことの重要性を痛感させられた。中途障害の人にとって、障害の受容は容易なものではなく、受容していない相手に、学校側がどう働きかければ良かったのか考えさせられた。エレベーターやスロープも実際に本人が使用してみると使いづらいところが多々あったが、学校側にそれを伝えていなかったことも分かった。整備をしたからと満足せず、適宜本人の困難感を確認し、個々の状況に合わせた整備調整が必要であった。

【事例No.34】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 授業、試験、移動、施設改修等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔1,000人から1,999人〕 
障害学生数〔11人から20人〕 対応する委員会〔健康管理センター運営委員会〕 支援担当部署・機関〔学生課、健康管理センター〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔教材の拡大、ノートテイク、チューター又はティーチング・アシスタントの活用、試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、パソコンの持込使用許可、使用教室配慮、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、進路・就職指導、特別支援学校との連携、保護者との連携、通学支援(自動車通学の許可、専用駐車場の確保等)〕

支援の申し出

申し出者=本人以外 経済情報学 1年次(男)
 特別支援学校から、オープンキャンパス時に対応した当該学科教員へ支援が必要であると申し出があった。
 脳性麻痺により上肢に不随意運動があるため、講義でのノートテイクや食事方法など大学生活全般について支援が必要である。

申し出を受けた部署

 特別支援学校から、当該学科教員へ連絡があった。

対応の手順

 特別支援学校の教諭、コーディネーター、当該学部長、学科長、チューター、健康管理センター職員でケース会議を実施し、支援内容等が検討された。その後、本人、母親と一緒に学内施設の利用状況を確認して、担当部署に教室変更などの依頼をした。当該学科教員、職員、授業担当教員、ゼミ生に情報開示をした。

学生との話し合い

 本人にも確認しながら支援内容について対策を立てたため、納得している。

支援内容

〔健康管理センター〕食事時に健康管理センターの一室(個室)を提供。弁当を食べる際はゴム製シートと弁当箱固定の木枠をセッティングし、食べた後は、食べこぼした物の後片付け・掃除を行なう。足筆記をする場合は足筆記用の道具一式を教室へ運ぶ。担当部署へ回転椅子から固定椅子へ変更依頼。
〔チューター〕ゼミ生に1科目だけノートテイクを依頼。大型キーボードの管理・設定。
〔授業担当教員〕教科書をめくる。プリント等の資料を片付ける手伝い。黒板の板書のタブレットでの撮影許可、板書方法の工夫。テスト時間延長。足筆記時の準備。
〔クラスメイト〕1科目のみノートテイク。荷物整理の手伝い。雨の日の学内移動は傘をさす。

学外連携

 特別支援学校(出身校)

その他

 学内ボランティアを利用した

学内協議参加部署・機関

 所属学部・教員、保健管理センター等

学生の反応、感想等

 当大学では支援センターがなく、今回のような学生が入学してきた前例もないため、支援体制が整っているとは言えない状況である中、関係者が協力し合い、配慮やサポートを行なっている状況である。まだまだ、課題はあるが、本人は全ての講義に出席し、楽しく学生生活が送れていると話している。

【事例No.35】 肢体不自由・上下肢機能障害

場面

  • 進級、卒業、就職、学外実習等

学校基本情報

(平成26年度(2014年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査より)
私立大学 学校規模〔5000人から999人〕 
障害学生数〔6人から10人〕 対応する委員会〔専門委員会〕 支援担当部署・機関〔学生就職課〕
◆肢体不自由学生への支援◆
〔試験時間延長・別室受験、解答方法配慮、注意事項等文書伝達、使用教室配慮、実技・実習配慮、教室内座席配慮、専用机・イス・スペース確保、講義内容録音許可、休憩室の確保、専用ロッカーの確保・使用許可〕

支援の申し出

申し出者=本人以外 福祉学 1年次
 本人からは申し出はないが、合宿担当者が新入生合宿を企画する際に、電動車椅子にベルトで身体を固定しなければ移動が困難であるという本人の障害の状態を鑑みて、合宿所での2泊3日の生活は困難であろうと考えた。しかし本人を合宿に行かせないのは障害者支援の原則に反すると考え、さまざまな対応をした。

申し出を受けた部署

 合宿担当者(教員)

対応の手順

 障害学生支援委員会に報告したのち、合宿担当者がほぼ独自に調整した。

学生との話し合い

 学生のできることはさせるという原則で列車の運賃割引の手配を自分で実施するよう依頼した。

支援内容

  • 合宿所近隣のバリアフリーホテルへの宿泊の手配。
  • ホテルから合宿所へのリフト付きタクシーの手配(2泊3日の朝夕の送迎)
  • 合宿地までの列車の切符手配(本人に依頼。料金は後に清算)
  • 介助者としてヘルパー資格のある4年生を依頼した。宿泊など常に同行する。
  • 合宿所の階段に簡易スロープを設置
  • 玄関階段の昇降は介護福祉士の資格のある教員の指導のもと学生を活用して実施した。

学外連携

 福祉タクシー

学内協議参加部署・機関

 委員会、所属学部・教員

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