令和2年度奨学金の返還者に関する属性調査結果

抽出人数 回答人数 回答率 参考母数(令和2年度末)
延滞者 15,785人 2,106人 13.3% 132千人
無延滞者 9,440人 2,020人 21.4% 4,254千人
  • 回答人数には無回答・不明回答を含まない。

結果の概要

1.在学中の手続等に関すること

(1)奨学金申請時に申込手続き(書類作成や入力作業)を行った者

奨学金申請時の申込手続きを「奨学生本人」が行った比率は、無延滞者では59.0%であるのに対し、延滞者では41.9%と低い。また、「奨学生本人」と「本人と親等」を合せてみても、無延滞者では82.7%であるのに対し、延滞者では65.9%しか申請時の申込手続きに奨学生本人が関わっていない。延滞者は無延滞者に比べて、親等が申請時の申込手続きを行った比率が高い。

図1-1 奨学金申請時の申込手続きを行った者(択一)

図1-1奨学金申請時の申込手続きを行った者回答比率棒グラフ;延滞者:奨学生本人41.9%、本人と親等24.0%、親29.0%、その他・覚えていない5.1%/無延滞者:奨学生本人59.0%、本人と親等23.7%、親14.9%、その他・覚えていない2.4%

(2)奨学金はどのように役に立ったか

奨学金がどのように役に立ったかについて、延滞者、無延滞者ともに「家計の負担を軽減できた」が最も高い。また、延滞者、無延滞者ともに、「進学することができた」が2番目に高い。
※比率は回答者数に対する比率。複数回答のため、合計は100%を超える。

図1-2 奨学金はどのように役に立ったか(あてはまるものを全て選択)

図1-2奨学金はどのように役に立ったか回答比率棒グラフ;延滞者:進学することができた57.2%、修学費に使うことができた24.8%、家計の負担を軽減できた57.4%/無延滞者:進学することができた50.9%、修学費に使うことができた30.2%、家計の負担を軽減できた69.1%

回答者のうち、2つ以上の効果を感じている者は、延滞者では36.2%、無延滞者では46.0%である。

奨学金の効果の数比率棒グラフグラフ;延滞者(2,089人)いずれか1つの効果を感じている人62.8%、2つ以上の効果を感じている人36.2%/無延滞者(2,017人)いずれか1つの効果を感じている人54.0%、2つ以上の効果を感じている人46.0%

(3)返還義務を知った時期

返還義務を知った時期は、無延滞者では「申込手続きを行う前」が88.9%であるのに対し、延滞者では52.2%と約半数にとどまり、申込手続きまでの認識が十分でないことがうかがえる。また、延滞者では、貸与終了後に返還義務を知った者の合計は17.2%で、そのうち約半数の8.8%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答している。

図1-3 返還義務を知った時期(択一)

図1-3返還義務を知った時期回答比率棒グラフ;延滞者(2,090人):申込手続きを行う前52.2%、申込手続き中13.9%、貸与中5.8%、貸与終了時2.9%、貸与終了後4.5%、返還開始後3.8%、延滞督促後8.8%/無延滞者(2,017人):申込手続きを行う前88.9%、申込手続き中5.5%

2.奨学生の職業・年収

(1)奨学生本人の職業

奨学生本人の職業は、延滞者では「正社(職)員・従業員」41.0%、「非正規社(職)員・従業員」28.7%、「無職・失業中/休職中」16.1%であるのに対し、無延滞者では「正社(職)員・従業員」76.6%、「非正規社(職)員・従業員」12.5%、「無職・失業中/休職中」3.4%で、無延滞者の方が延滞者より安定した就業状況にあるといえる。

図2-1 奨学生本人の職業(択一)

図2-1奨学生本人の職業回答比率棒グラフ;延滞者(2,089人):正社(職)員41.0%、非正規社(職)員28.7%、自営業/家業7.2%、無職・業中/休職中16.1%/無延滞者(2,018人):正社(職)員76.6%、非正規社(職)員12.5%、自営業/家業2.5%、無職・失業中/休職中3.4%

(2)奨学生本人の年収

奨学生本人の年収について、「300万円以下」の比率は、延滞者では合計69.4%であるのに対し、無延滞者では合計41.2%と大きな差がみられる。

図2-2 奨学生本人の年収(択一)

図2-2奨学生本人の年収回答比率棒グラフ;延滞者(2,074人)100万円以下16.7%、100万円超~200万円以下19.3%、200万円超~300万円以下21.9%/無延滞者(2,006人)200万円超~300万円以下22.0%、300万円超~400万円以下22.2%

3.延滞の状況

(1)延滞している理由 ※延滞者のみ

調査時点で延滞中の者に、延滞している理由を質問した。
延滞している理由は、「本人の低所得」が62.9%で最も高く、次いで「奨学金の延滞額の増加」が41.4%である。
男女別でみると、男性は女性に比べて「本人の借入金の返済」の比率が高く、女性は男性に比べて「本人の配偶者の経済困難」の比率が高い。
また、「奨学金の延滞額の増加」は男女ほぼ同率となっている。

図3-1 延滞している理由(あてはまるものを全て選択)

図3-1延滞している理由回答比率棒グラフ;男性:本人の低所得27.6%、本人の借入金の返済17.2%、返還割賦額(月額)が高い8.3%、奨学金の延滞額の増加19.5%/女性:本人の低所得30.2%、本人が失業中(無職)11.5%、本人の借入金の返済13.1%、奨学金の延滞額の増加18.6%

(2)延滞経験の有無 ※無延滞者のみ

調査時点で無延滞の者に、これまでに延滞したことがあるかを質問した。
「延滞したことがある」者は19.8%である。

図3-2 延滞経験の有無(択一)

図3-2延滞経験の有無回答比率円グラフ;無延滞者(2,014人):延滞したことがない75.0%、延滞したことがある19.8%、わからない5.2%

(3)延滞をしたときに最初にしたこと

調査時点で延滞中の者および無延滞者で「延滞したことがある」と回答した者に、延滞したときに最初に行ったことを質問した。
無延滞者は「入金した」が78.8%で最も高いのに対し、延滞者は「奨学金相談センターに電話した」が32.8%で最も高い。

図3-3 延滞をしたときに最初にしたこと(択一)

図3-3延滞をしたときに最初にしたこと回答比率棒グラフ;延滞者(2,051人):入金した16.3%、返還期限猶予を申請した17.7%、奨学金相談センターに電話した32.8%、何もしなかった13.0%/無延滞者(397人):入金した78.8%、奨学金相談センターに電話した5.3%

4.返還期限猶予制度・減額返還制度について

(1)猶予制度の認知状況

返還期限猶予制度の認知率は、延滞者で80.1%、無延滞者で62.1%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で39.9%であるのに対し、延滞者では6.0%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が56.5%と、無延滞者に比べて高い。

図4-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)

図4-1返還期限猶予の認知状況回答比率棒グラフ;延滞者(2,088人):延滞督促を受けてから知った56.5%、知らない19.9%/無延滞者(2,019人):奨学金に申し込む前から知っていた17,6%、返還が始まる前までには知っていた22.3%、返還が始まってから知った19.8%、知らない37.9%

(2)減額返還制度の認知状況

減額返還制度の認知率は、延滞者で62.1%、無延滞者で49.9%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で32.4%であるのに対し、延滞者では4.6%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が44.2%と無延滞者に比べて高い。

図4-2 減額返還制度の認知状況(択一)

図4-2減額返還制度の認知状況回答比率棒グラフ;延滞者(2,032人)延滞督促を受けてから知った44.2%、知らない37.9%/無延滞者(1,932人)奨学金に申し込む前から知っていた13.8%、返還が始まる前までには知っていた18.6%、返還が始まってから知った15.8%、知らない50.1%

(3)減額返還制度を何で知ったか

減額返還制度を知っている者(「奨学金に申込む前から知っていた」+「返還が始まる前までには知っていた」+「返還が始まってから知った」+「延滞督促を受けてから知った」)に、減額返還制度を何で知ったかを質問した。
延滞者は「機構からの通知」、「奨学金相談センター」で減額返還制度を知った比率がそれぞれ37.6%、18.5%で高く、無延滞者は「返還のてびき」、「奨学金申請時・採用時の資料」、「機構のホームページ」で減額返還制度を知った比率がそれぞれ36.9%、27.4%、15.6%で高い。

図4-3 減額返還制度を何で知ったか(あてはまるものを全て選択)

図4-3減額返還制度を何で知ったか回答比率棒グラフ;延滞者:機構からの通知37.6%、返還相談センター18.5%/無延滞者:奨学金申請・採用時の資料27.4%、返還のてびき36.9%、機構のHP15.6%、機構からの通知10.0%、学校の説明会15.2%

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独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
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